第44話:腐の連鎖 ~ある意味、接触感染?~
勢いで書けました。
地球からのネタひとつ解放。
モキュモキュと肉を食べていると、当主様=義父=ルーベンス・ディン・ウォーカー氏が話を振ってきた。
義父様、ウォーカー卿とかウォーカー氏とか呼ぶと可愛らしく(兄貴曰く、親父超ウザい)拗ねるので、仕方ないから『ルーぱぱ』で妥協してもらった。
妥協点が何かおかしいが、気にしたら負け。
…ルーベンスさんがこっそり、兄貴を『クロたん』とか『クロきゅん』とか呼んでるのは…聞かなかったことにするしかない。キリッとした威厳溢れるウォーカー氏のイメージ、誰か俺に返して下さい!
「ソーマ君、昨日の報告会なんだけどさ」
「ん? ルーぱぱ、何でしょか?」
モグモグごっくんしたあと俺が義父殿に聞き返すと、義父殿が極上の爆弾を投下した。
「いやね? 君がこちらに来たときの荷物の中に、書籍の類いがたくさんあったのは…当人だから分かるよね?」
「ええ。もちろん」
「じゃ、荷物は王室が精査して承認が得られた物だけ返されるのは知っているかな?」
「まあ、後付けでしたが知りましたよ?」
うん、そうだった。
ウォーカー氏は、俺の理解を確かめるように話を進めていく。
「では、ここでクイズだ」
「クイズ?」
「君の作った“焼き菓子”と、クロードのいう“薄い本?”とかいう書物は…手元に戻ったかい?」
「ぎゃあ! 忘れてた!」
大学在学中、とあるサークルに入っていた。
その名も“カオス部”。
漫画にアニメ、カラオケに料理。マルチにまたがる趣味人が集う、名が示すとおり、なんともディープで混沌としたサークルだった。
そんな部の先輩から年末に下されたミッションは、腐向け本の指定買い。そう、先輩は貴腐人だったのだ。
「東京まで行けないから買ってこい」という理不尽なお遣いのせいで、時間潰しで読むための自分の趣味本(薄い)と共に、けしからん本も荷物に混じっていたのである。
車はあんな状態だったし、菓子が無事かとか薄い本とか、そういうものの心配をしている場合じゃなかったから、頭からすっかり抜け落ちてました。
…ちなみにコレ、俺の悪い癖ね。
優先順位が下がりまくると忘れる、残念機能。…まぁこの際仕方ない。
「それで、行く末はどうなったんですか!?」
俺が質問すると、義父殿は苦笑してその後を答えてくれた。
「詳細はよくわからないが。精査から程なくして、王妃様をはじめ女性の王族方や上級貴族の御婦人・子女方が、異世界からの菓子や本に大層な興味を示されてね。御婦人方が有志を募って、公認の私立女学院を設立されたのさ」
「…なんか…嫌な予感しかしないんですけど」
「まぁ、菓子は…異世界料理・伝統料理研究課程とかいう名前で、再現にむけてそれはもう精力的に研究されたわけで」
「なるほど、それはわかります。甘味は女性の至宝ですからね」
上白糖はともかく…黒糖ですら、この世界じゃ微妙だ。あっても精製のロスが半端ないし。
砂糖自体はあるけど、安くはない(バカ高くもないけど)。
むしろ、若干のクセがあるかわりそれなりに甘い原料となるモノがあるだけに、無理して砂糖にする必要性がない。
「そういうことだね」
「それで…続きは?」
「結論からいうと、素晴らしい発明が今期の報告会で発表されたよ」
「マジですか!」
「ちなみにテーマは、
『均質な厚手白紙の作製に関する研究』
『複写・連続印刷機構の構築』
『均質点描薄膜の作製と応用』
『耐水性多色インクの研究』などだ」
うわ… 腐の執念が垣間見えるよ…!
「クロードから聞いたが… 女性とは恐ろしいな…」
「どうかしたんですか?」
「騎士や衛士たちも餌食だったのだが…私とクロードが題材で大変けしからんことになっている内容の本がコッソリ刷られてコッソリ読まれていたとは…」
「変なもの持ち込んでスミマセンでした!」
「技術革新に結び付いたから、喜ぶべきか…いや違うか…?」
元凶の鬼畜虎男は、土下座したり首をかしげたりする微妙な二人をニヤニヤ見守りながら、お上品(反語)に肉を頬張っていた。…頬張る時点で優雅さの欠片もないが。
バチあたれ、筋肉ダルマ!




