↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/23

詠ってみました!


転移の腕輪の情報を得た俺は、その日からまた周回修羅モードに入った。



・鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス



ピッと振ってバーン!


ピッと振ってバーン!


あかん。俺は、確率のブレを舐めていた。


全く出ない……。


何百周回しただろう…。


初期配置のゴブリンの動きから、ほぼほぼすべての行動パターンが読めるようになってしまっていた。


最速で魔剣を振るい、爆速で連続爆破。


ボン◯ーマンかな?


だが出ない。全く出る気がしないのよ。


なんならスライムは2個聖水落としました。


だが出ない。ゴブリンお前ほんとに落とすんか?


お?



・鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス



人生石の上にも、3年…


ここが、勝負どころや。


毎日、毎日、ゴブリンの牙と魔石を持ち帰る日々ーー。


俺の殺風景な部屋は、ゴブリンの牙でいっぱいになってきた…


こえーよ!


ゴミ袋にまとめてるんだけど、18袋やで?


45リットル袋に18袋やで?


ゴブリンの牙、こんなに集めてどうすんだよ…



・鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス



もうゴブリンの牙拾うのやめる……


あいつは、魔石を落とす棍棒として扱うことにする……


無である。


はぁ…タルタルチキンラーメン食べよ。



           ✳︎



周回が700回に迫るころ、またまたわかったことがある。


多分レアパターン以外のほぼ全てが埋まった。


スライムの時には初期配置、1体目の初動のパターン、次の動き、最後に反対のスライムの動きを見れば75%でレアドロップパターンの判別ができていた。


実際目視しながら観察記録スキルで確認すれば、パターン判定はすぐできるのだけど、暗記してる目視確認の方が早かった。


そして、ゴブリンデートでは逆だ。当たりパターンの動きがわからない以上、最後まで狩り続けなければいけない。


同じパターン生成で、ハズレと重複してるかもしれないからね。


だが、基本的に全てのパターンが出尽くしてしまった。


全部のパターンは128通りだった。


今は127通り把握している。


もし、大当たりパターンの初動が特徴的な動きをしていたら、ほぼ数体の情報さえ分かれば判別できるようになってしまった。


この気持ちを何に例えよう?


絶対出てこないワ⚪︎ワ⚪︎パニックのワニを狙ってるような気持ち?


頭の中では転移の腕輪の事でいっぱいだった。


移動時間が優遇されているこのダンジョンですら、転移の腕輪があればタイパは桁違いに上がるだろう。


10秒短縮も1000回やれば約3時間変わる。


何より毎回爆速でクリスタル操作する、あの苦痛から解き放たれる。



           ✳︎



周回数がついに大台の1000回を超えた。


数えるのも途中で馬鹿らしくなった頃、ようやく俺の手元には、青白く光る結晶――『転移石』が転がっていた。


「……やっと出た……!」


脳汁が頭皮を突き抜けて蒸発するかと思った。


これで「転移の腕輪」を錬金合成するための第一段階の素材の大当たりパターンは、すべて揃ったことになる。

いつもの俺なら浮かれてるところ。


だが…


俺の頭の中の冷徹な電卓は、不吉なノイズを上げながら、ある一つの最悪な計算式を弾き出していた。


俺は急いで荷物をまとめると、自室へと全力で引き返した。


部屋に戻り、ビールとツマミを机にドンと並べる。


パソコンを起動し、《観測記録》のログをデータにして画面に並べる。


「……やっぱり、そういうことかよ」


ビールを喉に流し込みながら、俺は画面に突きつけられた冷酷な数式を睨みつけた。


俺は身をもっての荒業で、二階層におけるゴブリンの全行動パターンが、128通りだと全通り潰しきることで証明した。


そして、総周回数が1000回を超えたところでドロップしている。


もし128分の1の乱数テーブルというのが全階層共通で、世間の冒険者たちが口を揃えて「上の階層に行けば行くほど、レアドロップの確率はエグいほど渋くなっていく」と愚痴るあのクソゲー仕様の噂が――。

綺麗にシステム上の『2倍(倍々)』のインフレで設計されていたとしたら、一体どうなる?


一階層では同じ回数試行して聖水が合計5個手に入っている。


そして三階層では1度もドロップできなかった。


確率を逆算しての仮説ではあるが、この二階層における大当たりの純粋なドロップ率は、およそ『512分の1』といった極小の乱数の中に設定されているのではないか?


ここまではいい。問題は、ここからだ。


俺の体験とログをベースにして数式を組み立てると、最悪の仮説が浮かび上がってくる。


一階層(スライム) : 256分の1


二階層(ゴブリン) : 512分の1

(今回の1000周回のリアル)


三階層(キラービー): 1024分の1


……なるほど。これなら、この前三階層の蜂を燻製ハメした時に、奇跡的に『合成石』が1発でポロッと落ちたのは、ただの天文学的な上振れ(豪運)だったってことだ。


そして、この倍々インフレの因果律をさらに進めると…


四階層: 2048分の1


五階層: 4096分の1


六階層: 8192分の1


七階層:16384分の1……


背中を冷たい汗が伝う。


何も知らずに、そんな泥沼の確率の五階層に突っ込んだら、確実に詰む。


目当ての素材が出る前に心が折れるか、魔物にすり潰されて物理的に人生が終わるわ。


ただの趣味のゴミだと叩かれていた『転移の腕輪』を死ぬ気で自作しなければならない…



大当たりパターンは全て掴んだ。


残りの素材は転移石3つと合成石2つ。


転移石は最悪、購入したとしても合成石は自力だな。


久々に酔えない苦々しいビールだった…



あぁ…もうほんと、この牙どうしよ…?





最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【ブックマークに追加】や、☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援していただけると、

あなたの評価でこの作品の運命が変わります!


※第1話など途中のエピソードでは、システム上この場所に評価の星(⭐)が出現しません。その場合は、お手数ですが下記の作品トップ(目次)の一番下から応援していただけると非常に嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 「面白い!」「続きが気になる!」と思ってくださったら、 作品の【ブックマーク追加】や、画面下にある【⭐⭐⭐⭐⭐(評価)】をタップして応援していただけると、執筆のクオリティと速度が跳ね上がります! ※第1話など途中のエピソードでは、システム上この場所に評価の星(⭐)が出現しません。その場合は、お手数ですが下記の作品トップ(目次)の一番下から応援していただけると非常に嬉しいです! ▼作品トップ・目次ページはこちら https://ncode.syosetu.com/n2223my/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。