エピローグ
その日の夕方神社の土の掘り返しが行われた。土の中から大量の遺体が発見された。どれも昭和より前のもので身元は分からないが皆女の子のようだ。きっと梅咲の生贄になった娘だろう。
「麻子さん」
かすみは遺体の回収作業の様子を見物してる野次馬の中に混ざり隣にいる歌手に話しかける。
「ウメサキヒメって女神じゃなくて歌姫の霊、それも悪霊だったのね。」
「そうね。」
「でもどうして私が呼ばれたのでしょうか?」
「きっと誰も近づかなくなってたまたま本島から来たあなたを呼んだのじゃないかしら?」
その言葉にかすみの背中に寒気が走る。
「長い間ずっと誰も来なかったから。」
後で祖母から聞いたが昭和11年のお祭りでは巫女の歌唱力が低くウメサキヒメの怒りをかい村に嵐が吹き荒れたらしい。かすみの体験と一緒だ。生き残ったのは神社の神主の末娘を含む生贄に反対していた数人の村人だ。彼らは悪い風習を断ち切ろうと神社での祭事を廃止した。
「行っちゃ駄目。」
ウメサキヒメに着いていこうとしたかすみを止めた声を思い出した。きっと夏美だったのだろう。
「ありがとう夏美ちゃん。」
かすみは鳥居に向かって手を合わせる。
その夜新しい神社ではお祭りが行われた。屋台に盆踊り、一番の目玉はのどの自慢大会だ。優勝者には賞金10万円が与えられる。かすみもつかさや裕二達と来ていた。
「私参加してみようかな?のど自慢大会。」
かすみが呟く。
「おい、姉ちゃんやめろって恥かくだけだぞ。」
「そんな事言わないで。1000年振りに歌いたくなったのですもの。」
かすみは出場者受付に向かう。
「1000年振りってなんだよ。」
「かすみさん、面白いな。」
不思議がるつかさの隣で裕二が笑っている。
のど自慢大会は滞りなく進みかすみの番がやってきた。つかさは耳を塞ぐ。
「えっ?!嘘だろ?!」
聞こえてきたのは琴のような美しい歌声だ。審査員は合格の鐘を鳴らすとかすみはほくそ笑む。
「女の子の美しい歌声を聴くのもいいけど自分が歌うのもいいわ。だって私は歌い手だもの。」
FIN




