祭りの巫女
「お姉ちゃん!!目覚めた!!」
かすみが目を覚ますとどこかの民家の和室にいた。布団が敷かれその上に横になっている。小さな女の子がかすみを覗き込んでる。彼女は着物を着ている。
「お姉ちゃん大丈夫?家の裏の梅の木の前で倒れていたんだよ。」
「梅の木?私ウメサキヒメから梅の花を渡されて。」
「ウメサキヒメ?お姉ちゃん?ウメサキヒメ様に会った事あるの?」
女の子は食い入るようにかすみに尋ねてくる。
「ええ、貴女ウメサキヒメを知ってるの?」
「うん、だって家は神社だもの。ウメサキヒメ様を祀ってるんだよ。」
「神社って廃社になったよね?」
「何言ってるの?廃社になってなんかないわ。お父さんが神主さん、お母さんと麻美お姉ちゃんが巫女なの。」
その時かすみの目にカレンダーがとまる。
「今年って令和8年よね?」
「お姉ちゃん令和って何?!昭和11 年だよ。」
女の子はカレンダーに載っている年号と年度を教えてくれる。
「お父さんの分からず屋!!どうして私がやらなければいけないのですか?!!」
隣の部屋から大声が聞こえてくる。
「麻美お姉ちゃんまたやってるよ。」
声の主は女の子の姉麻美らしい。かすみは女の子に連れられて隣の部屋をこっそり見に行く。
襖をそっと開けると畳の部屋で三つ編みに橙色の着物の少女が黒い和服中年男性と口論している。
「麻美、お前も15だ。この役目を果たせるのはこの島にお前しかいないの分かるだろう。」
「だから私はこの儀式自体が間違ってると言ってるのです。」
「お前もずっとやりたがってただろ?」
「麻美お姉ちゃん!!」
勢いよく襖を開け女の子が2人の間に割って入る。
「夏美、お前聞いていたのか?」
「麻美お姉ちゃん、お祭りの巫女さんって女の子なら皆やりたがるんだよ。何でそんな事言うの?お姉ちゃんがやらないなら私がやる。」
「待て!!夏美。お前はまだ10才だ。早い。」
神主である父親が止めようとする。
「駄目!!絶対に駄目!!」
麻美が反対する。
「麻美お姉ちゃんおかしいよ。やりたくないと言ったと思ったら私がやるのも反対!!お姉ちゃんの意地悪!!」
夏美は泣き出して部屋を飛び出して行く。後を追うように麻美も父親の部屋を出る。
「夏美ちゃん、」
かすみは縁側で泣いている夏美に声をかける。
「お姉ちゃん」
「かすみでいいよ。」
「かすみちゃん、あのね麻美お姉ちゃんどうしてあんな事言ったのかな?」
数年前のお祭りで歌う巫女の姿を見て麻美は自分もやりたいと言った事がある。
「でもその頃はまだお姉ちゃん私と同じぐらいだからお父さんは駄目って言ってそれで泣いちゃって。」
「ねえ、今から麻美お姉ちゃんに聞いてみない?」
かすみが夏美を連れて麻美のところに行こうとした。
「ねえ、貴女」
目の前に既に麻美が立っでいる。
「麻美さん、あのね」
「貴女、東京から来たの?」
かすみより先に麻美が尋ねる。




