マウンティング西亜口さん
「さて、今日のカップラーメンはなにかな」
昼になり、俺は合宿所へ向かう。
ちなみに昨日は、ひたすら未海からメールを送られ続けた。
というか、質問責めだった。
この十年のこと。住んでる場所のこと。学校のこと。里桜のこと。
そして、西亜口さんのこと――。
「来週の日曜に来襲……いや、こっちに来るって話だが……」
また、波乱が起きる。
……まぁ、平日は平穏が約束されているならいいか。
俺は合宿所に入り、階段を昇り、広間へ向かった。
「シャアアアアアアアアアアアア!」
「ぎゃああああああああーーーー!?」
広間では西亜口さんと里桜が闘っていた!
平穏はどこ行った!
「あら、祥平、遅かったわね」
「あっ、祥平! 助けてー!」
西亜口さんは里桜に馬乗りになっている。
いわゆるマウントポジションというやつである。
なにがいったいどうなっているんだ……。
「えっと、これはどういうことだ? なにがあったんだ?」
「ちょっとライバルを減らそうと思い立っただけよ」
「いきなり襲いかかってくるからビックリしたよー!?」
というか柔道有段者の里桜が負けるとは。
「物理的にマウントをとってみただけなので問題ないわ」
「問題あるから! いきなり物理的にマウントとってこないでよ!?」
やはり西亜口さんはクールなのかエキセントリックなのか判別つかないな。
俺の周りの女子は行動が予想不可能かつ凶暴だから困る。
「ともかくカップラーメンタイムにしようかしら」
「あたしも弁当ターイム!」
マウントをとった者もとられた者も気にすることなく食事タイムに移行した。
この切り替えの速さはすごい。やはり乙女心は複雑怪奇だ。総辞職したくなる。
ともかく、そのあとは俺たちはいつもどおりのランチタイムを送るのだった――。
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