↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
37/58

シベリアで培ったツンドラ力(つんどらりょく)VS暑いぞ埼玉!~編集者志望の西亜口さん~

「祥平、今日はあなたの家に寄るわよ」


 放課後。校門を出たところで西亜口さんから耳元で囁かれる。

 西亜口さんは俺よりも先に教室から出て、校門のところで待っていたのだ。


「うぇえっ!?」

「うぇえってなによ。殺すわよ?」


 相変わらず物騒だ。


「今日はあの脳筋武道女は部活でいないみたいだからね。チャンスは最大限に生かすのがわたしの主義よ」

「……えっ、でも、それだと家にふたりっきりになっちゃうけど……」

「だからこそでしょう? お邪魔虫がいない間に、あなたに誰が主人であるかを骨の髄まで叩きこんでおかないと」


 おそロシア。

 というか、西亜口さんと家にふたりっきりというのはプレッシャーが!


「そのうち妹もどきが来襲するのでしょう? ならば、先手を打っておかないと」

「せ、先手って……」

「あなた……今書いている小説の主人公……メインヒロインは誰なのかしら?」

「えっ……そ、それは……」


 あの小説は西亜口さんが転校してきたことにインスピレーションを受けて書き始めたのだ。

 なので、当然――。


「し、西亜口さん、だけど……」

「そ、そう……そうよね、わたしがメインヒロインよね……」


 西亜口さんは安堵したような表情を見せる。

 だが、それも一瞬。


「中押し、ダメ押しをしておかないといけないわね」


 野球じゃあるまいし。


「あなた、まだ昨日の小江戸川越デートを書いていないでしょう? さっさと書きなさい」

「え、えぇえっ……。でも、いろいろありすぎて、どう書いていいか……」


 俺の技量ではあれだけの人物をしっかり書き分ける自信がない。


「まあ、どう書こうと勝手だけれどメインヒロインが誰かという部分は忘れないでほしいわね。がんばって書きなさい。可及的速やかに書きなさい。遅れたらシベリア送りになるつもりで書きなさい」


 冷たい瞳で見つめられ……否、脅される。


「わたし実は編集者志望なのよ。あなたにはいい小説を書いてもらうわ。書かないと言うならあなたをロシアの屋敷に監禁して鉄格子のついた部屋で書かせるわよ。オプションとしてわたしが常に罵り続けてあげる」


 そんなカンヅメは嫌だ。どんなオプションだ!

 しかし、西亜口さんはロシアでどんな暮らしをしてたんだろうか。そこは気になる。


「いつかあなたをロシアに連れていきたいわね。宮殿と見まがうばかりの西亜口家の豪邸。そこには鉄格子つきの部屋がいくつもあるのよ」


 おそロシア……。

 ほんと、どういうところに住んでいるんだ……。


「姉とはよくスパイごっこをして忍術を極めたものだわ」


 なるほど。だから西亜口さんは微妙に身のこなしが常人離れしてる部分があるのか。

 西亜口さんの姉も、さぞかしエキセントリックなんだろうな……。

 

「まあ、ロシアでの話は今はいいわ。とにかくあなたが小説を書く様子を背後からじっくりねっとり観察させてもらうから」


 それだと執筆が捗らない気がするが……。

 まぁ、校門前で長々と話しているのもなんだな。


 先日、里桜が教室に来てからというもの俺たちの関係についてクラスメイトたちから疑念の目を向けられているからな……。

 そりゃ俺のような陰キャが学園の美少女ふたりと行動してちゃな。


「それじゃ、行くか……」

「ええ。行きましょう」


 西亜口さんもほかの生徒たちからの視線に気がついているだろうに、動じることはない。

 俺とはツンドラ力が違う。さすが永久凍土。

 俺のような生温い(というか夏は暑い、暑すぎる)埼玉育ちとは肝の据わり方が違う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ちょっと飛ばし過ぎです! 平均2行ごとに笑ってしまいました! ツボったところが多すぎて書ききれません!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。