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第96話 二人の覚悟

……一方エレスタ王国にて


「よし、エレスタ王国に着いたね〜」



「なんで、ファイ国王もメアナイトさんも来ないんでしょうか?」


「まぁまぁ今は恩を売る時間だぜ」


「そうみたいだ」



ケミ、エイント、ジブル、レッド、アイム

フィステリア、バブリエル、タニカの8人、そして大蛇とフェニックスがエレスタ王国に来ていた



「おい、敵なんかいねえし、もう帰ろうぜぇ」


「そうです、私たち多分騙されたんです!」

バブリエルとタニカが今にも帰りそうだ



「はぁ、敵ならいるぜ」



「どこに敵がおりますの?」



「敵はな…あたいだぜ!」


「ケミ、何を言っているんだ?」



「だから、あたいがハルマゲドンの仲間だってことだ!」



「ケミ、どういうことゾヨ!」


「安心しろ、全部フェニックスのためだぜ!フェニックスのためにも、ハルマゲドン様のためにもお前らには消えてもらわなきゃな」

ケミはフェニックスに薬物を打ち込んだ


「何やっておるのじゃ!」



「あたいは炎神様と一つになるんだぜ!」

フェニックスがケミと融合してしまった



「やめるんだケミ、一人でどうするつもりだ!」

エイントがケミを抑え込む



「エイント、これはホムランド、そしてフェニックス大聖教を護るためだぜ!エレスタ王国を滅ぼして、全人類に炎神様の教えを伝えなきゃだめだ!」


「そんなことしてまで、教えなくていいじゃないか!」



「なんだと、エイントも炎神様を軽視するのかっ!」


「ケミ…忘れたのか、あの日のこと、宗教は平和のためにあるんじゃなかったのか?なぁ、思い出せよ!」



……まだエイントが子供だった頃に遡る



エイントの両親は【御友達教団】という宗教団体の教祖だった


「いいですか、人間は自然そのままだと人を殺してしまうのです、だからいっぱい修行をして【おおらかな心】を手に入れなければいけません」


「いっぱい修行したら、世界中の人間と御友達になれるんだ、こうすることでしか、世界は平和にならないからな、修行はサボっちゃいかんぞ」



「はい、分かりました」



「エイントは私の自慢の子、あなたがこの世界を平和にするのよ」



おおらかの心を手に入れるための修行というものは、一言で言えば拷問であった


エイント含む信者たちは毎日鎖に繋がれたまま過ごす


修行の時間になると、エイントの父親は信者に一人ずつ鞭を打つ、もし叫び声ひとつでもあげようものなら、黙るまで殴り続ける


これはエイントに対しても例外ではない


「お父さん、もうやめてよ!」



「エイント!今なんと言った!?お前はこのありがたき試練を侮辱するのか!今日お前にやる飯はないぞ!」


「これに何の意味があるんだよ!こんなことしなくたって御友達になれるよ」


「今、俺を疑ったのか!いいか、疑うことは罪だ、俺を信じろ!」


「でも、こんなことしなくたって」


「いや、俺は昔は友だと思っていた奴に何度も裏切られて殺されかけた、人間はそんなもんだ!」


「それは…」


「お父さんはお前を苦しめたいわけじゃない、これはお前のためだぞ」


「分かったよ…」



「そうだ偉いぞ、俺は信じてるからな」


…それから5年後


「今日でエイントは12歳なのね」


「今日からお前には修行を強化する」


「強化?これ以上激しくしたら、もう死んでしまうよ!」


「馬鹿者!このありがたき試練を…」



「あなた!この子を叱ってはなりません!試練を激しくして、もし本当に死んでしまったらどうするつもりよ!そうなれば、あなたはあらゆる罪の中でも最も邪悪な【殺人】という恐ろしい大罪を犯してしまうことになるのよ!」



「いや、死ぬことはない、こんな物を大量に買ってきた!【きずぐすり】って言ってな、これを使うとどんな傷でも絶対に一瞬で治るんだ!」

エイントの父親は大量の小瓶を持っていた


「そんな薬があるわけないでしょう!」

エイントの母親はエイントの父親の右腕を斬り落とした



「…こんな傷もな、こうだ!」

エイントの父親が傷口に【きずぐすり】をかけると、なんとたちまち傷が治った



「まぁ、確かに本当のようね」



「よし、それじゃ、お前に任せたからな」


それから、エイントの母親による強化修行が始まった


「いいですか、何があっても【殺人】は赦されません」

エイントの母親の能力によって、四肢を斬り落とされた状態で、何時間も過ごすのだ

さらに痛みを訴えるごとに断面を、少しスライスされていくのだ


エイントはいつのまにか、気を失ってしまった


……


目が覚めると布団で寝ていた

「やっと目を覚ましたのね」

エイントの四肢は元に戻っていた




こうして、この恐ろしい修行を毎日行うことになった


……ところがそれから1ヶ月経ったある日


「もう嫌だ!耐えられない!」

エイントは家から抜け出してしまった


家からものすごい速さで走り抜ける


家からずいぶん離れたところで、何かが空を飛んでいるのに気づいた



巨大な赤い鳥が飛んでいたのだ


「よし、捕まえてみようか!」

エイントはその赤い鳥を模写をして、実体化!

それに乗って、赤い鳥の方へ飛ぶ



「ん?人が乗っているのか?あ!まずい!ぶつかる…」



エイントは赤い鳥と衝突してしまった



「ちょっとあんた、なんでぶつかって来るんだ!」



「す…すみません」



「あんた、名前は?」


「エイントです」



「ああ、あの御友達教団のエイントか」



「知ってるのか?」


「当たり前だぜ、この前あたいから【きずぐすり】を100個も買っていったからな」


「あ…そ、そうなんですか」



「なんだ?言いたいことでもあるのか?」



「あ…あなたの名前は?」


「ケミだ、それでこの鳥がフェニックスだ、覚えておくんだぜ」


「へぇ」


「朕がフェニックスゾヨ!」


「珍しい鳥だ」


「朕は炎を司る神ゾヨ!」


「へぇ、神か…」



「それじゃ、僕は…修行に戻らないと」


……


「エイント!どうしてこの修行を抜け出したんだ!馬鹿者!」



「あなた、この子は自分の意思で戻ってきたんですよ!また、修行を始めたらいいだけよ!」エイントの母親はエイントの四肢を斬り落とした



そしてエイントの目玉をほじくり出した、


「ゔあああああ!」

エイントは叫んでしまったので、さらに斬られる



それからしばらくして修行がようやく終わった



迷わずケミの所に向かった



「エイント、また何しにきたんだ」



「なんか…分からない」



「あたいと話すか?」



「え?」



「お前、泣いてるぜ、大丈夫か?」



「やっぱり大丈夫か?」


「あの…これ以上教団に…薬を売らないでもらえるかな?」


「別にいいぜ…ただそれで解決できるのか?」


「それは…多分できる」


「多分じゃ駄目だ、商売だからな」



ケミはフェニックスに乗って、また飛んでいった



……


それから何度もケミと会った



「エイント、また今日も来たのか?」



「最近、修行しても何も感じなくなった、修行の成果かもしれない」


「ふ〜ん、エイントが幸せなら別にいいぜ」



……次の日も

「お〜、お前最近はどうだ?」



「結構いい調子かな」


「無理するなよ」



それから毎日修行終わりにケミの所に通うようになった


ついに父から尋ねられた

「おいエイント、気になってるんだが、お前は毎日夜にどこに行ってるんだ?」



「あ…ただの散歩だよ」


「別に隠さなくてもいいんだぞ?あ、さては女か?女だな、誰かと交際してるのか?」


「そんなんじゃない!」



……1ヶ月たったある日


「もうあの教団にもう薬を売らないほうがいいかもな」


「別に売ったらいいんじゃないですか?」



「あたい、昨日…修行の様子を覗いてみたんだが、別の教団を思い出しちまったんだぜ」



「別の教団?」


「昔なあたいの両親が、宗教に騙されて…首吊って死んだんだぜ…、暴力を伴う宗教は許せない…もう売らないことにするぜ」



……次の日だった



「おいエイント、この女と話しつけて【きずぐすり】売らせねぇようにしたな!」

家に帰るとケミが捕えられていた


「エイント!もう失望したわ!おおらかな心はいらないんですか!?」


「違う…違うんだ!」


「違う?じゃあこの女がお前を誑かしたわけだな!」



「違う違う違う!ケミは悪くないんだ!」



「エイント、いいのよ、この悪女が悪いのよ」


「違う!」


「おい、エイント!これが最終試練だ!このナイフで片目でも潰してやれ!【殺人】は絶対に駄目だが、【殺人】以外はしていいんだぞ」

父親はエイントにナイフを与えた



「エイント?どうした?早くやれよ?期待してるぞ!」


「あ…あ…」

エイントの手がふるえていた


「エイント…あたいの右目を思いっきり刺すんだぜ!気にするな…」


「違う、僕は…僕は!」

エイントが持っていたナイフは、父親の胸に刺さっていた

心臓を貫通していた



「エイント!お前…」



「あ、違う!あ…、駄目だ」

エイントの父親は死んでしまった!



「あんたぁ!この罪は許されないわよ!」

母親はエイントの手足を切断しようとした


が、エイントのナイフはもう右足に刺さっていた


「僕は許されない、どうやってこの罪を…何してもゆるされないのか…」

エイントは母親を滅多刺しにして殺した


そして、その血を使って、ドラゴンの絵を床に描き、実体化


ドラゴンは両親の死体さえも燃やし尽くした



「あ…あ…」

エイントはナイフで、自らの首を掻き切った



「…しょうがない…もう一度チャンスをやらなきゃな」

ケミは、エイントに【強制ふっかつ薬】をかけた


……



「ん?ここは…」



「大丈夫か?」



「っ!?なんで、ここはどこなんだ」


「あたいの家だぜ」



「僕を助けたのか…僕は人殺しだぞ!いいのか!」


「本当にすまない、お前に人を殺させたくはなかったぜ」


「違う!僕は許されないんだ、それに生き方も分からない」



「お前に責任はない、責任は【御友達教団】にあるぜ」



「違う、僕が…」


「そうか、お前は自分が許せないんだな、分かった、じゃあ許すためにあたいと一緒に人を救うのはどうだ?」



「人を救う?どうやって!」



「新しい平和のための宗教を作るんだぜ」


「それじゃお父さんと一緒じゃないか!」



「さぁな、それはお前しだいだぜ」


「僕次第?…無理だ、僕は結局人殺しだ」


「やってみねぇとわからねぇぜ!ダメだと思ったら解散すればいい」


「……なんで僕なんかに構うんだ」



これが今から12年前のことだった

……


ところが今のケミは違う


「ああ?なんのことだか分からないぜ!」

ケミは空に飛び上がった



「ケミ!もう一度言う!君一人では何も出来ないんだ!諦めろ!」



「一人じゃないぜ!」

ケミは回収していたハイドの髪を取り出した


「な…ケミ、それを復活させる気かい?」



「御名答だぜ!」

ケミは髪を【強制ふっかつ薬】に漬け込む

なんと、ハイドが蘇った



「あれ?ケミ?なんでケミがうちを蘇らせたんや?」


「ハイド、お前はあたいの奴隷だぜ!死ぬまであたいの為に働くんだぜ!」


「面白そうやなぁ!あれ?大蛇おるやん!」


「待て、ハイド!やめるのじゃあああ!」


「残念やったなぁ!」

ハイドは大蛇と契約してしまった



「ど…どうしますの?ケミはなかなか手強いですわ」


「ケミと和解する形で決着をつけたいところかな?じゃあ行くよ、かがやき君」

アイムはかがやきの剣を空に掲げた、光がアイムを包み込む

「勇者様、拙者の力を存分に使うであります」


「ケミってなんか喋ってるけどなかなか攻撃してこないね〜」


「きっと何か作戦でもあるはずです!」


「残念だが、あたいの仲間はあと二人いるぜ!」


「二人?どこにもいなくね?おれ嘘つき嫌いだって言ってるだろ!」


「待って、隠れてるのかもしれないし…」



「ああ、仲間ってのはバブリエルと、タニカのことだぜ?忘れたのか?カガルミナでお前達に逆らったら死ぬ薬やっただろ」


「はぁ?一回死んだからリセットじゃねえのかよ!」


「バブリエル…ここはケミに従うしかないんじゃ…」


「何言ってんだタニカ!」


「あの…私達は弱いんです!強い人に付くしかないんですぅ!」




「あ〜ごめんね!必ずケミと和解するから!」

アイムはバブリエルとタニカの首を一瞬にして刎ねた



「ちょっとアイム!何をやっておりますの!」


「いや、ケミと必ず和解するんだ!問題ないだろう!」

エイントはそう言いながら、大きなドラゴンの絵を描き始めた



「死んでもらうぜ!」

ケミはプラズマビームを乱射!



「死んでもらうで!【(わたつみ)】【(こおり)】!」

あたり一面、水で埋め尽くされたかと思えば、それは凍りついてしまった



「リセットのお時間ですわ!」

フィステリアは水の時間だけを戻し、ロケットパンチをハイドに撃つ


「無駄なんだよ!」



ハイドの腹を貫通


「ロケットパンチですわ!」

「リセットのお時間ですわ!」

「ロケットパンチですわ!」

「リセットのお時間ですわ!」

「ロケットパンチですわ!」

「リセットのお時間ですわ!」

何度も往復するロケットパンチにハイドの肉が抉られる



「ハイドへの攻撃も無駄だぜ!」ケミはハイドの傷を治してしまった


「はははは!残念やったなぁ!」



「ケミ!いますぐやめるんだ!僕はケミのことが大好きだ!だからこそ…君を殺したくない」


「黙れや!」

ケミは【ウルトラかくせい薬】を注射器で打った



「はぁ、ケミもその辺にしといたら〜」

どこからともなく現れたジブルはケミの背後からショットガンを撃つ



「そこにいたんだな!薬師術第三番:燃毒!」

ジブルは燃えて死んだように見えた


しかし、

「俺はここだよ〜!」

ジブルは生きていた

ショットガンが胸を抉る



「クソっ!さっき燃やしたのはエイントが描いた絵か!」

ケミは炎神の羽で飛び上がり、その隙で傷を治す



「ケミ!諦めてくれ!」

エイントはドラゴンの絵を描き実体化!そしてドラゴンに乗ってケミに接近



「うちのこと忘れんといてや!【(しぶき)】!」ハイドが高圧縮水流を発射


「ごめんね!」

エイントは盾の絵を描き実体化!


「私のことも忘れてますよねっ!」

レッドが蝙蝠となってハイドの右足に噛み付き、血を吸い出す


ハイドの右足は壊死したので、立つことも歩くこともできない



「おい、ふざけんなよ!」


「眠ってもらいまーす!」

レッドは口から吐いた血を鎌の形に変えて、斬り込む



「【(かて)】!」

ハイドはレッドの鎌を吸収

その髪が紅く染まる


「私の攻撃を吸収したんですか!?ずるいよそれは〜」


「【(かため)】!」

大量の血液をエイントに発射

血液は一瞬にして固まった



「動けない…」


「エイント君!」

アイムは固まった血だけを器用に斬る


「ロケットパンチですわ!」

ハイドの腹にロケットパンチがヒット

 

「痛いなぁ!【(しぶき)】」

ハイドが技を放つ前にアイムは時のギアを10000に変えて居合斬り、ハイドの首を斬り落とした

「ごめんねハイド君、僕はもう油断しないからね」

ハイドからは大蛇が排出された


「さて、これで邪魔する者はいなくなった!ハルマゲドンの口車に乗せられたなら、僕が絶対に止める!」

エイントはカチリタスの絵を描いた

偽カチリタスは冷凍波動弾を撃つ



「こんな攻撃、痛くも痒くもないぜ!」

ケミはプラズマビームで打ち消しながらエイントに接近


「僕に接近して、どうするつもりだ!」


「あたいもエイントことは大好きだ、だからお前だけには死んでほしくなかったぜ…!薬師術第一番:壊毒!」


しかしエイントは真正面から攻撃をそのまま受けた…体が一瞬にしてバラバラになり即死した


「おい!エイント!なんで避けなかったんだぜ!あたいはどうすればいいんだ!そもそもエイントを殺さなきゃいけない理由なんか…」ケミはエイントに駆け寄る

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