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雪の精霊 ~命のきらめき~【PV62000突破☆感謝!】  作者: あるて
第1章 充電期間

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第15曲 ギャラリー狂騒曲

「さすが」


 ゆきの運動神経は知っているけど、初めてやるスポーツでも遺憾なく発揮されるものなんだな。

 授業が始まる前からゆきを発見したからずっと目で追っていたけど、あのジャンプサーブには目だけじゃなく心も奪われた。


 あの抜群の容姿だけでも十分だが、それに加えてダンスで鍛えたバネをいかんなく発揮してのしなやかな動きはまるですばやく振り下ろされた鞭のように美しく、両方合わさればまさに芸術的。

 それはひいき目なんかじゃなく文句なしにキレイで、見惚れる以外に選択肢がない。

 やっぱりうちの弟は何をやらせてもそつがなくかっこいい。しかもその後わたしの方を見て手を振ってくれたので心臓が止まるかと思った。


 キュン死寸前で悶えていると友人が「茜ー! ゆきちゃん、バレーめちゃくちゃ上手くない? ずっとやってたの?」と聞いてきたので一度もやったことのない初心者だと答えたら案の定驚愕の表情をしていた。

 自慢の弟は何をとっても普通じゃないのだよ。


 ゆきの凄さはこれから体育の時間が重なれば自然と周知されていくだろうけど、今日初めて見た人が抱くであろう信じられないという気持ちはよくわかる。

 普通どんなスポーツでも初心者ってのはもっとたどたどしくて、時には無様な姿を見せたりもするもんだろう。

 それを超中学級エースかのような活躍をみせるのだからはっきり言って化け物だ。


 もしなんらかのスポーツに打ち込めば、きっととてつもなく優秀な成績を残すだろうことは間違いないと思うが、本人は遊びとしてやるスポーツには興味があっても本気で打ち込むのは歌とダンスしかない。

 少しもったいないなと思う面もあるがダンスをしている時の生き生きとした姿と、なによりあの歌声を聴けば今の道が最善なんだと納得させられてしまう。

 それくらいゆきの歌声は圧倒的。

 ホント天は人に二物を、とかいう次元じゃない。でも、やっぱり歌い踊っている時のゆきが一番輝いている。


 本当の魅力はそんな外見的なものだけではないんだけど。

 しかしそれが一番わかりやすい魅力でもあるので、周りの女子たちもゆきの活躍を見ては黄色い声援を上げて騒いでいる。

 彼女たちはただ単に運動神経の良さに賞賛をおくっているのか、男性としてかっこいい姿のゆきを見て騒いでいるのかどちらなのだろうと考えるとモヤモヤしてきた。


 ゆきのことは誰にも渡さないよ。

 そんなことばかり考えていたので授業で何をやっているのかなど頭からすっぽり抜け落ちて、一時間ずっとゆきのことを凝視してしまっていた。


 * * *


 転校して最初の体育はマラソンだったので特に問題はなかったけど、2回目のバレーボールの授業で常人離れした運動神経がバレてしまった結果、お昼休みにスポーツをしようと誘われることが多くなり、結果として以前より男子生徒との距離が縮まった。

 以前より気さくに話しかけてくるようになり、休み時間に男同士で会話することも増えた。

 それでも女の子の行動力の方が上なのか、気が付けば女子の輪の中に引きずり込まれていることの方が多い。


 バレーの授業をきっかけに変わったことと言えばもうひとつあって、わたしのクラスの体育の授業にギャラリーが現れるようになったことだ。

 もちろん授業中なので先生に見つかれば即座に追い払われてしまうのだが、隠れて見ていたり、同じ時間体育に当たったクラスの人たちがわたしの活躍を見学するようになってしまい、そのクラスの授業が円滑に進まなくなってしまったのだ。

 その現象がエスカレートしていっているのも、これまたわたしのせい。

 もともと運動が好きでどんな内容の授業でもついはりきってしまうからだ。


 サッカーでは派手なジャンピングボレーシュートで得点したり、マット運動ではバク転バク宙側宙なんかお手の物で体操選手も顔負け。

 だってダンスでもやるんだもん。

 野球ではこれまた人並外れた動体視力で相手チームから絶望の声が漏れるほど全打席ヒットかホームラン、守備では武道で鍛えた反射神経を活かしてファインプレーの連続。


 体育の時間があるたびにそんな花形選手みたいな活躍ばかりしていれば注目もされるというもので、諸悪の根源はわたしで間違いない。

 わたしは部活に入っていないので、スポーツをしている場面を見れるのは体育の時間だけだから見たい人は隠れて見るしかない。

 わたしにはどうしようもないこととはいえ、やはり授業妨害をしているようで罪悪感がある。


 それを木野村君や田村君に相談したところ、たまに部活の助っ人として練習に参加すれば授業中にリスクを冒す生徒も減るんじゃないかという話になった。

 見つかったら大目玉だもんね。

 それでいくつかの運動部のキャプテンへ会いに行って交渉したところ、どこも快くどころか積極的に受け入れてくれた。


 私生活が忙しくて正式に入部できないことと晩御飯を作る必要があるから一時間程度しか参加できないことを詫びても、みなさん嫌な顔ひとつすることなく理解を示してくれて、逆に無理せず私生活の方を大切にしてくださいと気を遣ってくれるほど。

 その優しさには思わず感激してしまった。


 ともあれ、わたしがスポーツで活躍する場面を放課後にどこかで見られるという話は各部活を通して広まり、授業中にさぼる生徒はほとんどいなくなった。

 ただ同じ体育館やグラウンドで別クラスと被ったとき、こちらばかり見てるのは防ぎようがなかったけれど。


 わたしだって注意をしたことがある。


「こっちばっかり見てないでちゃんと授業に集中しないとだめですよー!」


「キャーこっち見てくれたー!」


 ダメだこりゃ。

 わたしは何もしない方がいいな。


 あとみずほちゃんの情報によると、学年をまたいだ合同体育を実施してほしいという請願が生徒会や職員室に頻繁に届くようになったらしい。

 表向きには学年間の交流になるという名目を掲げていたらしいけど、二年四組ばかりがわたしを独占しているのはズルいという本音が見え隠れしていたと苦笑していた。


 こうして毎日ではないけれど部活に助っ人で行くようになって夕方の時間が前より減ってしまったけど、部活をしてる分ジョギングをしなくてもよくなったのでその分夜の時間を確保できることになった。

 Vtuber活動は夜にやるのでその時間が増えたのは純粋にありがたい。

 部活の方も好評でどこの部に行っても重宝されるようになり、時には取り合いに発展しそうなこともあった。

 わたしが原因で揉め事になるのは真っ平だったので、毎週金曜日に翌週のスケジュールを決めてしまうことにした。


 すると副産物というか、学校の生徒間で使われているネット掲示板にそのスケジュールが公表され、ギャラリーの人たちが以前より増加。

 その結果これはいい影響だと思うんだけど、部員が異性にいいところを見せようと熱心に練習をするようになり、結果的に公式戦の成績が上がったということだろう。

 嬉しい誤算ってやつだけど、男子ってほんと単純だな。

 そういうわたしだって男だし、異性にいいかっこしたいと思う気持ちは分かるけど。

 でも露骨すぎやしませんか、みなさん。

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― 新着の感想 ―
ゆきくんの活躍を観に行きたいですよ!それはもう! 部活で少しでもいいところをゆきくんに見せたくて練習頑張っちゃいますよねぇ!分かります!
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