被験体番号009(gin rummy)
大変遅くなりました!
被験体番号009(gin rummy)
『...見つけて、私を...』
ご飯の時間だ。
今日はお客様が居るようだから、私は傘を持ってくるように言われた。
本当に宝の持ち腐れ。
戦闘の為に作られたこの武器は見世物の為に使われる。
実際そっちのほうが平和でいいのだから仕方ないけど...
なんだか腑に落ちない。
何故私はこんな事をしているのか、何故私には自由がないのか...
私は...ただの人形なのか...
「今日のお客様は僕と同じ仕事をしてるんだ。君と同じ、綺麗な被験体を連れてきてるみたいだから、お友達になれるかもね。」
いらない。そんな人に選ばれた友達なんていらない。
私は自分で友達と言える人に自分から出会いたい。
...なんて、わがままだろうか。
「ユニコーンの綺麗な被験体だよ。傑作品らしいから、二人で何か芸をして欲しいんだ。今日はカメラもあるし。」
あぁ、なんて自分勝手に物事を進める人なんだろう...
私の気も知ろうとしないくせに...
{こっち}
...バッ
咄嗟に振り向いてしまった。
夢の中で聴いた声と同じだったから。
「どうしたんだい?」
「...いえ、声が聴こえた気がしたので」
「...?僕には何も聴こえなかったけど」
{そこから左の廊下だよ}
「だ、誰!?」
「ラミ?」
声に出てしまった、ご主人が反応してしまう。
{左の廊下を真っ直ぐ走って、そしたら来れる}
「お前は誰なんだ!何故私に命令する!」
「ら、ラミ...疲れてるのかい?」
{逃げ出したくないの?}
「...!?」
{さあ、こっちにおいで...導いてあげる}
「......」
「ラミ...?」
ダッ...!
私は走った、左の廊下を。
大した理由はない、それこそ、そこまで本気じゃないから...
ただ、興味本意、本当にそれだけ。
「ラミ!何処に行くんだ!!」
「ご主人様、どうかなされましたか?」
「ヴァンパイアの被験体が逃げ出した!至急捕まえるように!!ケンタウロスの被験体を放て、巨人の被験体を正門の前に並べろ!!」
「か、かしこまりました!」
後ろからご主人と執事の会話が聞こえる。
{大丈夫、私を信じて...}
まったく、私らしくもない...
こんな無謀なこと、普段なら絶対にしないのに...
{階段を見つけたら下に向かって}
「下?」
{そう、私はそこに閉じ込められてる}
「やっぱり...お前も...」
{君ほど優遇されてないけどね}
「まあいい、とりあえず見つけてやる」
{...ありがとう}
私は下に向かった。
しかし階段が多い、この建物はこの街の中心にそびえ立つ一番高い城...
ここに監禁されてる被験体なんて、私くらいだと思ってたけど...
階段いちいち降りてたららちがあかない、私はジャンプして飛び降りる。
足が痛いがそんなの気にしない。
{1階まで来たね、それじゃあ正門と反対に向かって}
城内が騒がしくなって来た...急ごう...
けど...確かに正門と反対側は行き止まりだったはず...
物置になっていたような...
...しかしここまで来て止めるのも釈然としない、いくしかないか。
私はまた走り出す。
たどり着いたのは、やはり行き止まり。
ご主人がお客様から貰った要らない調度品が積み重ねられている。
{よく来たね、ちょっと待ってて}
「え?待つの?」
{うん、扉出すから}
「扉?」
「...!ヴァンパイアの被験体がいたぞ!!皆こっちだ!!」
「やばい、バレた!!早くしろよ!」
{よーし、いくよー}
「は?」
{そーれ!}
「え?」
瞬間、足場が無くなった。
急に私の真下の地面に肩幅くらいの穴が空いて、無論私は...
「わああああぁぁぁぁぁ!!!」
そのまま落下した。
「おい!ヴァンパイアはどこだ!!」
「こっちです!あれ?いない...」
「逃げたか!?」
「そんな、ここは行き止まりです!見張りも居ました!」
「見張り!ヴァンパイアはどうなったんだ!」
「わかりません...急に...下に落ちて行きました...」
「いったたた...」
下に落下した私は、盛大に尻もちをついていた。
「やっと出会えた...トランプのハート...」
「...お前が...俺に話しかけてたヤツ...か?」
「うん、そうだよ。」
これが夢だったら、きっとあんな思いもしなかったんだ...
そう...夢だったら...
名前 ラミィヴァーニ
愛称 ラミ
身長 152cm
種族 ヴァンパイア
武器 傘
番号 400054
ヴァンパイアの傑作品。
被験体コレクターに気に入られ、自由のない生活をしている。




