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魔王が勇者を拉致った結果  作者: デンダイアキヒロ
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波乱の予兆

 俺の言葉に、帝国軍二人が慌てふためく。


「おおお前! リンゼッタ様とどういう関係だ!? その愛称はリンゼッタ様と近しい人間しか知らないはず……!」

「さぁねぇ。ただ俺の友達の友達が……おっといけない。これ以上は言えないな」

「お兄様、その『リゼ』って誰ですか?」

「んあ? ……まぁ、カムリのお友達の帝国の姫様と思ってもらていいぞ」


 ミルダへの言い訳を済ませ、顔を引きつらせる提督様に向かって


「さて……賢い賢い提督様のことだ。少なからずおたくの姫さんと関係を持つ俺の船を襲ったんだ。これがどういうことか分るよな?」

「はっ、ハッタリだろう。どこでリンゼッタ様の愛称を知ったかは知らないが────」

「ちなみにリゼの近くにライラって女騎士がいるだろ。あの高圧的なやつ」

「ッ……あのクソ女まで知り合いとは……!」


 ヴィリジアンは歯ぎしりしながら俺をにらみつける。

 ハッハハハ! ヒルダのプレゼントを探しに行った時はあのゲス姫に振り回されまくったが、まさかこんな形で役に立つとは思わなかったぜ!

 持つべきものは人脈だな!


「ぐッ……!」

「自分の置かれた立場が分かったってんならさっさとその人質を解放して魔王大陸とその周辺の海域に入らないことを誓いな。お前もリゼを敵に回したらどうなるかは知ってるだろ? その固執している地位を追われるだけで済むといいな」

「……分かったッ! 緋色の魔女は解放しよう! だからリンゼッタ様だけにはこのことを言わないでくれ!」

「いい返答を聞けて感謝する」

「相棒、リゼって身内からどんな風に思われてるんだろうね……」


 それは同感だ。軍人に恐れられるってどれだけヤバいことをやったんだよ。

 少なくとも真っ当なお姫様がすることじゃねぇな。


「ギル、放してやれ」とヴィリジアンが命令し、カーラが解放される。


「ふぅ……助かったわ。それにしてもあなた、何者なのよ」

「うるせぇ。お前も人のことを言えた義理じゃねぇだろ。……さてと、提督。このまま手ぶらで帰りな。ついでに海賊退治をやってくれると助かるんだが」

「チッ、人の足元を見やがって。リンゼッタ様のご知り合いでなかったら靴をなめさせているものを……」


 そう悪態をつきつつ、二人は甲板の手すりに足をかける。


「では、さらばだ」

「お、おい。下は海じゃ……」


 慌てて船から飛び降りた二人を追って下をのぞき込む。

 ッ……何じゃこりゃぁ!?


「レヴィ! 見ろよ! 鉄が浮いてるぜ!」

「え……うっわ。ナニコレ……」


 そこには、鉄の塊が波をたてて沈んでいく姿だった。

 もうそれ沈没じゃねぇか? 船として終わってるぜ?


「……いや、そういうことね。フフッ」

「んあ? 何かわかったのか?」

「つまり、これが『鉄のサメ』の正体よ。おそらく、これは水中を進むための船だわ。帝国が秘密裏に開発してここで試運転でもしていたのかしら。────ほら、実際に水面下で船の影が進んでいるでしょ?」

「ホントだ……」

「水上だけではなく水中も支配しようっいうのが帝国らしいわね。考えることが斬新で面白いわ」


 んー? カーラの言っていることがよくわからないが、ひとまず『鉄のサメ』問題は解決したってことか?


「おおむねその認識で大丈夫だと思うわ。彼女達はあなたのお知り合いの怒りを買うことを恐れて二度とこの海に現れないだろうし。また人間大陸で活動すると思うわよ」

「そうだな……じゃああとは『黄色の流星』だが……」

「まぁ……それは別にいいんじゃないかな。人魚達もあんまり気にしていなさそうだし。気になったから調査してくれ、的な感じで」

「そうですよお兄様。変なことに首を突っ込むのはやめましょ」

「そうだな。今まで痛いほど感じてきたことだ、やめよう」


 大抵この類の出来事は嫌な予感しかしない。少しぐらい無視を決め込んでも大丈夫だろう。


「じゃあ俺たちは旅を進めることにするか。もうすぐ目的地に着くし……あ、そうそう。ここからは急激に気温が下がるからちゃんと着込めよ。風邪ひいても知らないからな」


 望遠鏡をのぞき込みながら、海流にのって流れてくる小さな氷山を確認する。

 この大陸は不思議なもので、南国の地域と極寒の地域が隣接しているのだ。魔王大陸独特の気候である。


「……あれ?」


 目の前の不思議な光景に、思わずレンズの度数を変える。

 何かが光りながら猛スピードで魔王大陸の方に向かっている。


 必死で追って、その正体を確認────そして、スッと望遠鏡を下げた。


「どうしたの相棒……顔色が悪いよ?」


 レヴィに顔をのぞき込まれるも、俺の頭はその光る物体のことで頭がいっぱいになっていた。

 まずい……非常にまずい。

 俺は焦りに固まった首を無理やりレヴィの方に向けて言う。


「レヴィ……」

「ん?」

「もしかしたら……俺たちがいないうちにヒルダが死んでしまうかもしれない」

読んでいただきありがとうございます!

もし気に入っていただけたら下にある☆☆☆☆☆を埋めてくれると作者としては非常にテンションが上がります。

ついでに投稿モチベも上がり、作品がより良いものになるかも知れません。作者は素直な子なのです。

気が向いたらでいいです。ぜひ評価の方を

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