カレーとトーク
今回はトーク中心です。カレーを食べながら話します。
火さえ揃えば、あとはすぐに終わった。
できあがったカレーは女子が皿へと盛り、男子が食べる場所に運ぶ。
「そろったな、ではみんなで食べようぞ!いただきます!」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
生徒会長の合図で俺達は食事を開始した。
「うめぇ、ってこれ美少女の手料理じゃね?」
雄人がカレーに舌づつみを打っている。
「このカレー美味しいですね、天神会長。こんな美味しいの洋食店でも食べたことないですよ。」
「あぁ、ありがとう福岡。でも、恥ずかしながら私がしたのは野菜をきるくらいなんだ。ほとんど彩雪が調理したと言っても過言じゃない。」
「そうなんですね、美咲さんとても美味しいですありがとうございます。」
「あの…ありがとう…」
「まじで美味しいよな、支給された市販のルー使ってるのになんでここまで差が出るんだろ…」
福岡先輩に続き一貴山先輩もそう言う。
みんな一貴山先輩と同じことを思ったらしく彩雪姉ちゃんを見つめる。
「それは…」
注目された彩雪姉ちゃんは人見知りにはつらい視線なのか言い淀んでいた。
「確か、ニンニクと生姜を少し入れてるんだよね?お姉ちゃん」
コクコクと彩雪姉ちゃんは頷く。
「お前ら姉弟は何度も言うが本当に仲良しだな。」
生徒会長に先輩達も頷く。
「なるほど、俺も今度やってみようかな。」
「げっ、悠太って料理も出来るのかよ。ハイスペック過ぎんだろ…。」
「雄人って何か取り柄あるの?」
「おい緑斗!何そっち側についてんだよ。お前も何もないだろ」
「あ、あるし!えっと…あれ?」
「ほら見ろないじゃんか!」
雄人は仲間だぜ、と言って肩を組んでくる。
「りょーくんは優しい…」
「うん、緑斗君は優しいよ。」
「確かに緑斗は優しいね。」
彩雪姉ちゃん、香織、悠太が援護してくれた。
雄人は焦り出す。
「俺には何かない?」
「うるさい…」
「お調子者?」
「人の話を聞かない。」
「うざい」
「それ欠点じゃねーか!てか姪浜のは悪口!」
やっぱりみんなで食事するのはとても楽しい。
「優しさしか取り柄のない緑斗はともかく、悠太は料理もできるなんてスペック高過ぎないか?神様は不平等だぜ…」
「りょーくんはかっこいい…」
「緑斗君はしっかりしてる。」
「だぁ!わかったわかった!」
「なんなら雄人、今度僕の家に食べに来るかい?」
「まじ?いいのか?行く行く!緑斗、お前は連れていかないからな」
ものすごくナチュラルに家に誘う悠太、さすがイケメンだ。この雄人の言葉に対する答えはもちろん決まっている。
「ああ、感想聞かせろよ。」
「おうよ!」
「弟君とも知り合えたし、私は彩雪の家に遊びに行くとするかな」
「せ、生徒会長が行くなら私も行っていいですか?美咲先輩」
生徒会長に続き香織も志願する。
友人が来るのは初めてなので嬉しそうに彩雪姉ちゃんはコクコクと頷く。
「香織が行くなら私も行こうかな。私もいいですか?」
「うん…どうぞ…」
姪浜も続いた。
「美咲のお姉ちゃん可愛すぎない?抱きしめていい?」
姪浜は興奮しているようだ。
「だめだ。」
「けちー」
「それより、なんでみんな俺には聞かないの?」
「全決定権は美咲先輩にあると思って」
「ひどい!」
「おい、緑斗!お前なんで美少女ハーレム体験しようとしてんだよ」
「雄人、お前は呼ばないからな?」
「ブーメランで返ってきた!?」
やはり、大入先輩は黙って黙々とカレーを食べていたが、みんなよく笑った楽しい昼食だった。
ちなみに福岡先輩達に「先輩達も来ますか?」と聞いてみたが「遠慮しとく…」と苦笑いで返された。