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黒髪ロリの義姉ができた話。  作者: 天りす
交流合宿編
19/24

合宿への出発。


 「おい、1年2組諸君聞け。今からバスに乗ってもらうが班ごとに固まって奥から詰めて乗れ。班ごとの席は好きにしろ。」


 室見先生の合図で1班から順番に乗り込む。


 俺はここで1つの計画がある。



 遡ること数分前。


 「緑斗ちょっといいか?」


 声をかけてきたのは王子様西新悠太だ。


 「悠太か、なに?」


 「バスで雄人と隣に座りたい。協力してくれないか?」


 俺達の班は5人班である。つまり悠太と雄人を隣にするということは、奥から班順に詰めると俺は後ろの班、つまり4班の誰かと隣になる。でも雄人と座るよりはマシな気がしてきた。


 「わかった。協力するよ。」


 こうして俺は悠太と雄人を隣で座らせることになった。



 1班がバスに乗り込み、俺達2班の順番がやってきた。もちろんバスに乗り込むのを5人の中で最後にすれば良い。

 香織、姪浜、雄人、悠太、俺の順番で乗り込んだ。

 1番後ろの席に香織と姪浜、その前に雄人と悠太、隣の席をあけて俺が1番前に座った。隣の席には4班の1人が来ることになる。


 俺達が座席につくと3班が乗り込んでき、その後4班がきた。


 4班は男2人、女3人の班であまるのは女の子だ。あまり話したことない女の子と一緒に座るのはさすがに緊張する…。そう思っていたが


 「お、麻衣(まい)じゃん」


 姪浜が俺の隣に座ろうとしたショート女の子に声をかけた。


 「あ、美希」と麻衣と呼ばれた少女は言った。


 「ねえ美咲くん私美希の隣行っていい?」


 姪浜は俺に席を変わるように要求してきた。


 「うん、いいけど…」


 「さっすが、かわったかわった」


 姪浜と入れ替わるために立ち上がると姪浜は俺にドヤ顔とウインクをしてきた。


 そしてその理由はすぐにわかった。香織と隣なのである。前では雄人もニヤついている。

 こいつら揶揄う気だ…。 


 「えっと、隣座るね」


 香織は顔を赤くしている。


 「う、うん!どうぞ!」


 俺は香織の隣の座席に座った。雄人が時々バスの座席と座席の間から顔を覗かせてきてうざい…


 「おい、お前ら!班員は揃っているか確認しろ!いないやつがいたら俺に報告しろ」


 室見先生はそう指示を出し、生徒があたりを見回す。


 「先生、美咲緑斗がいません!」


 前の席の雄人がいきなり発言した。


 「後ろにおる!」


 俺がそう言い返すと、クラスから笑い声が起きた。


 「本多」


 「はい先生!」


 「ふざけるな」


 「はい先生…」


 雄人が怒られてスッキリした。

 一連のやり取りに香織は隣で「ふふふ」と笑っていたが、俺と香織は謎の気まずさで全ての班が乗車し終わり、出発するまで終始無言だった。


 バスが出発するとバスの中は一気に騒がしくなった。


 「楽しみだね!」


 香織が話しかけてきてくれた。


 「うん、姉ちゃんとも同じグループだし本当に楽しみ。」


 「またお姉ちゃんですか〜」


 香織はそういってほっぺをつついてくる。


 「せーんせーい!後ろの2人がイチャついてまーす!」


 前から覗いていたのか雄人がまたそう発言するが、バス内は騒がしく先生にまで届かなかったが、騒がしかったバス内が凍りついたように静かになった。


 すでに眠ろうとしていた室見先生は、急なバス内の静寂に戸惑って、「お前ら、どうした?」とキョロキョロ見渡していた。


 前方から男子生徒の負のオーラを感じた俺はしばらく黙っていた。するとつい眠ってしまった。


 どれくらい時間が経ったのか、眠っていると突然右手が温かくなった気がした。心地よい温もりにまた深い眠りにつくのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 美希のおかげで緑斗くんと隣の席に座れた。彼は今、私の左に座っている。


 彼とはバスでいっぱい話したい。そう思っていたのにいろいろあって気まずく、なかなか話すことができなかった。


 なんて話しかけよう…。そう考えている間に緑斗くんは眠ってしまった。


 私がモタモタしてるから…。


 なんでもいいから話しかければ良かった…。


 緑斗くんの寝顔はとても可愛かった。写真を撮って額縁に入れて部屋に飾りたいレベルだ。


 そして私は彼の膝の隣に置いてあった手をみた。


 その彼の右手がとても魅力的に思えた私は思わず触れてみた。


 手のひらは大きく、少しごつごつしてて男の子なんだなぁと思う。


 我慢できなくなってついつい握ってみた。


 緑斗くんはこれでも起きないようだ。


 すごく幸せだった。ずっと握ってたい。


 そんなことを考えて、しばらくの時間が経った。


 緑斗くんの頭が私の肩に乗ったのだ。


 心臓が跳ね上がる想いだった。手を繋ぎ、肩に寄りかかってまるで恋人のようだ。


 顔が熱くなるのがわかる。


 誰かに見られると恥ずかしい…でもできる限りこのままでいたい。


 そうだ…寝たフリをしよう。2人とも寝てしまって偶然こうなった。それなら不自然じゃないはず!


 私は目を瞑り、緑斗くんに頭をくっつけるがドキドキで、結局眠気が来ることはなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「お前ら、起きろ!ついたぞ」


 室見先生の声で俺は目が覚めた。


 なんと俺は香織の肩に頭を乗せて、さらに手を握っていた。そしてその香織は眠っているらしい。


 俺は香織の膝を軽くトントンと叩き、起こしてみた。


 「んんっ、おはよ。」


 香織はすぐに目をこすって起きたが、寝覚めがいいのか、顔が赤く、まるで今まで眠っていたと思えないほど生き生きとしていた。


 「ごめん、寄りかかっちゃってたみたいで」


 香織は顔を真っ赤にして「いやいや、いいの!気にしないで!」と言ってくれた。


 そして未だに手を繋いでることに気づいて二人とも慌てて手を離す。その後目があい俺はドキドキしていた。


 「お前ら、周りの寝てるやつ起こして降りてこい。」


 室見先生の指示で我に返る。

 前の座席を見ると雄人は爆睡しているようで、悠太が一生懸命起こしていた。雄人が起きていなくて助かった。

 見られていたら揶揄われていただろう。


 バスから降りる時、こちらを見てニヤニヤする姪浜さんには気になったが…

香織かわゆい。


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