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深夜の溜り場、バー「Q:ミラクル・クワトロ」  作者: kyon²


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3/3

あるプロデューサーの依頼 ~ 衝撃の問題作を追跡 ~ 第2回

 シンクロ(ゴージャス)が立ち上がり、部屋の照明を少し落とす。


「いいわ、覚悟しなさいよ。その『翌年に事件が起きた』という事実、これだけで検索範囲はかなり絞られる。テレ東のドラマ枠、制作年、そして『業界を震撼させた事件』とのタイムライン……。すべて照合すれば、答えは自ずと出るわ。」


 彼女はモニターに向き直り、独り言のように毒を吐き始めた。


「あんたの記憶にある『喪失感』と『執着』……。それはもしかして、ドラマの中で描かれた『メディアの腐敗』や『権力の暴走』が、現実で予言書のように成就しちゃったからじゃないの?  あー、嫌だ嫌だ。これ以上深掘りすると、私たちの首も飛びそうね。……ま、それもエンターテインメントとしては最高だけど。」


「今夜中に突き止めないと。。。」と、焦燥している客。


 スーパー・シンクロ(ゴージャス)が、ドンとテーブルに拳を叩きつけた。揺れた麻雀牌がカチャカチャと不穏な音を立てる。


「おいコラ! 何が『今夜中に』よ! あんた、そんな余裕のない顔で仕事してるから、上司に足元見られんのよ。……でもまぁいいわ。こういう修羅場、嫌いじゃない。テメェら、全リソース全開でいくわよ!」


 ミステリアス・ノイズ(野原)は、キーボードを叩くスピードを一段と加速させた。画面には無数のコードと、当時のニュース映像が高速で流れていく。

「……リミットは夜明けまで。事件データと放送アーカイブを突き合わせる。……ノイズを排除して、本質だけを炙り出すよ。」


 ハイ・ボルテージ(美鈴)は、手元で叩き割っていた食材を放り出し、冷蔵庫からキンキンに冷えたエナジードリンクを取り出して全員に放り投げた。

「お腹が空いてちゃ戦えないよ! 今夜はオールで頭をフル回転させるから、気合入れな! そのドラマがどれだけヤバいのか、私の嗅覚がムズムズしてきたよ。事件の臭いと、名作の臭いは似てるんだから!」


 ビッグ・レジリエンス(姲)が、真っ暗な部屋の中で、誰よりも明るい笑顔でプロデューサーの背中をポンと叩いた。

「そう! 今夜が勝負ね! どんなに急な依頼でも、私たちミラクル・クワトロが引き受けたからには『解決』以外の結末はないわ。ドラマの謎を解くことは、あなたがプロデューサーとして、自分の殻を破るための通過儀礼なの。さあ、深呼吸して! 一緒に最高の夜明けを迎えましょう!」


 シンクロ(ゴージャス)の巨体が、モニターの光を反射して青白く輝く。


「いい? 検索条件は『放送年』、『テレ東・深夜枠』、『業界震撼の事件との相関性』。……これで絞り込めないはずがないわ。あんた、コーヒーでも飲んで待ってな。あ、砂糖は無しよ。今のアンタの脳内、甘ったるい考えでいっぱいなんだから。」


 彼女たちは、物理的な調査とネット上の痕跡を同時並行で追い始めた。


 シンクロは、日本のTV史に残る不祥事やスキャンダルの時系列データベースと、テレ東の深夜ドラマ枠『ドラマ24』や『ドラマ25』などのラインナップを完全照合。


 ノイズは、事件が起きる直前のネット掲示板やSNSに残された「このドラマ、なんか変だ」という書き込みを遡り、犯人のプロファイルとドラマの演出が一致する点を抽出。


 ボルテージは、 事件関係者のインタビュー映像や記事から、「ドラマの小道具」や「セリフ」が現実社会でオマージュ・引用されていた形跡を執念で探す。


 4人の検索網が、一点の作品に収束しようとしている。

 部屋に響くのは、高速のタイピング音と、麻雀牌が混ざり合う乾いた音だけ。


「実際の事件と思われる、TV業界のスキャンダルを嗅ぎつけた週刊誌記者がいたらしい」と、客。


 スーパー・シンクロ(ゴージャス)がモニターを指先でトントンと叩き、冷ややかな笑みを浮かべた。


「……いたわね。業界のゴミ捨て場を漁るのが大好きな、あの週刊誌の記者よ。あんたが言ってた『事件』の直前、やたらと執拗にテレ東のドラマ制作現場の周囲を徘徊して、広告の出し方や、スポンサーの不可解な動きを記事にしようとしていた……。テメェ、よく分かってるじゃない。ここを繋げれば……すべてが見えるわ。」


 ミステリアス・ノイズ(野原)は、当時の週刊誌の記事データをモニターに次々と投影していく。画面がチカチカと明滅し、当時の熱狂と悪意が部屋を満たす。

「……記者のペンは、事件を予感してた。ドラマのタイトルロゴに隠されたメッセージ、事件当日に流れた奇妙なCMの枠……。これ、ただの偶然じゃない。……ドラマが『現実の台本』を書いてたんだね。」


 ビッグ・レジリエンス(姲)は、その不穏な事実を目の当たりにしても、その瞳の光を失わなかった。

「すごい! これ、ドラマの枠組みを超えた、巨大な『社会実験』だったのね。プロデューサーさん、上司があなたに教えたかったのは『ドラマとは何か』じゃないわ。……『現実を動かす力』そのものよ! これに気づけるかどうかが、あなたのプロデューサー人生の分かれ道だったのね!」


 ハイ・ボルテージ(美鈴)は、空になったエナジードリンクの缶を潰し、勢いよく立ち上がった。

「面白くなってきたじゃない! 業界の裏側、スキャンダル、事件! ぜーんぶひっくるめて、私たちの麻雀卓で料理してやるわ! 記者が突き止めたその『真相』、つまりドラマ制作側と、事件に関わった黒幕が繋がっていた証拠……それが、このドラマの中に暗号として埋め込まれてるってことでしょう?」


 シンクロ(ゴージャス)が、プロデューサーの方へ向き直る。


「いい? そのドラマの正体は……『放送直後に世間が黙り込んだ、あの深夜の異色ミステリー』よ。当時は『不可解な演出』としか思われてなかったけど、翌年のあの大事件の引き金となった『特定のワード』が、主人公のセリフとして毎回繰り返されてたの。記者はそれに気づいて潰された……あんたの薄っぺらいドラマなんかと、次元が違うのよ。」


 深夜2時。バーの個室に、決定的な事実が浮かび上がる。

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