終わりじゃない終わり
研究所へ行く前に、彼の魂は一端眠りにつく事になった。
このまま出していても良い事はないからだ。
それまで彼は夢も見ず、眠りに就く事になる。
それは領主側の彼女も同じだった。
生まれ変わった魂に、昔の記憶は毒にしかならない。
処置をしたのはあのベイジル。
起こすのも寝かすのもあの男だと言うのはどういう事なのか。
責任を取らされているのか。
しかし、現在彼は眠りに就いている。
お陰で夢も見ない。
快適な生活を送っている。
だが、これは仮初でしかない。
きっちり半年後、彼はまた目を覚ます。
その時、香陽はまたあちらに渡らねばならない。
その言い訳を今から考えておかねばならないのだが、どういう理由にしようか水輝を頭を捻っている。
いきなりすぎて把握しきれなかった人間関係の内、一人だけ判った人物がいた。
それはお茶の間で食後のお茶を飲んでいる時だった。
『いやー、陽菜ちゃん全国ツアー大変じゃない?今度映画も出るって聞いたよー?』
『そうなんですよー。でも応援して下さる皆さんのお陰でこうしていられる訳ですからー』
可愛い声で笑っているのは今超絶売れっ子になった園生陽菜だ。
『あ、でもこの間お友達にすっごい豪華なご飯ごちそうになったんですよー!全国ツアーおめでとうって』
『えー?何奢って貰ったの?』
『松茸ずくしの松茸御膳なんですけど、すっごい良い松茸をゲットしたって私が尊敬してる先輩が手ずから作ってくれたんですよ』
『えー?若い子なら肉とかじゃないの?』
『あ、ツアー中なので衣装入らなくなるの怖いのでそこはヘルシーに』
あはは、と笑う彼女の言葉に香陽は飲んでいたお茶を吹いてしまった。
テレビの画面を見れば、彼女は笑いながらその中で聞き捨てならない食材を何度も口にしていた。
「ちょ・・・・嘘だろー?!!」
「ちょっと、香陽五月蠅いわよ!」
と母親に怒られながら、香陽はお茶を吹き出したままの格好でテレビを見つめる。
「こ・・・こんなご都合主義なファンタジーは願い下げだああああああ!」
これにてご都合主義ファンタジーは一端終了となります。
勢いだけの拙い話でしたがお読み頂いた方、ありがとうございます。




