1話 無双したくて死んだ俺
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「異世界転生、流行ってるらしい」
仕事帰り、スマホを見ながら俺は呟いた。
最近のアニメはどれもこれも転生モノ。
死んだらチート、気づいたら無双。ハーレム付き。
「いや、人生イージーすぎん?」
思わずツッコむ。
現実の俺?
もちろんハードモードだ。
上司には怒られ、後輩には抜かれ、給料は上がらない。
唯一の楽しみが異世界アニメって時点で察してほしい。
「……いいなぁ、転生」
ぽつりと本音が漏れる。
剣と魔法の世界。
努力すれば強くなれる世界。
現実世界もそうではあるけども…。
いや、ぶっちゃけ努力しなくてもいい。
チートくれ。無双させろ。
「どうせならさ」
信号待ちで立ち止まりながら、俺は思った。
「無双できるなら、一回くらい死んでもいいよな」
完全に軽口だった。
人生に絶望してたわけじゃない。
ただちょっと、現実に飽きてただけだ。
……たぶん。
そのとき。
「プーーーッ!!!」
「え?」
顔を上げた瞬間、目の前にトラック。
近い。いや近すぎる。
「ちょっ——待っ——」
ドンッ。
「いやフラグ回収早すぎだろ!!!」
心の中で叫んだところで、体はしっかり吹き飛ばされた。
薄くなっていく意識の中、こう思った。
(よし!このまま眠ろうと!)
気づくと、俺は白い空間に立っていた。
「……あれ?死んだ?」
体は動く。痛みもない。
まじ。もう夢実現?
ていうかここどこだよ。
「転生前の待機部屋的な?そういうやつ?」
だとしたら神様とか出てくる流れだろ。
チートくれるやつ。
頼むぞマジで。
俺は無双したいんだ。
――ステータスを表示しますか?
「神様、雑ッッ!!」
いや声だけかい。姿見せろや。
まあいい。
「表示する!」
ワクワクが止まらない。
来いよチート。
来いよ無双人生。
名前:???
レベル:1
——————————
筋力:1
体力:1
敏捷:1
魔力:1
スキル:なし
――――――――――
「……は?」
三秒くらいフリーズした。
「いやいやいやいや」
おかしいだろ。
「全部1って何!?初期値どころか最低値じゃね!?」
チートどこいった。
無双どこいった。
俺の人生リセットボタンどこいった。
「ちょっと待て神様ァ!!!」
返事はない。
「いや説明しろよ!!!」
異世界転生ってもっとこう、優しくない?
最初から強くしてくれるやつじゃないの?
「なんで俺だけハードモードなんだよ!」
ていうかこれ。
冷静に考えて。
「……詰んでね?」
無双するために死んだのに。
現実より弱くなってるんだが。
「ふざけんなよマジで」
静かな空間に、俺のツッコミだけが虚しく響いた。
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