♯83 Heavy Rain 28
「 “最初の者” ……説明が難しいんだけど。数多とある並行世界の中には、爻が知っている “私” 達のような存在と、そうではない存在がいるの」
(そっくりだけど違う存在と、それ以外……)
「そう。“最初の者” とは、どの並行世界にも存在しない “唯一無二” の存在のこと」
『つまり、爻? お前は世界における “最初の者” って訳だ』
(……俺に似た奴は、存在しないってことか)
「ええ。そして、ここからが重要なの。“最初の者” は、この星にまだ記憶されていないから……」
(うーん……悪い。それは理解出来ない……)
『何が言いたいかっていうと…… “最初の者” は、記憶を読まれることがない “武器” だってことだ』
(俺が武器……でも何に……はっ! あいつかっ!)
「爻見たの?! 誰だった?! 知ってる顔だった?」
(いや、姿は見ていない。いつも声だけなんだ)
『そっか。残念だ。知ってるやつだったら、記憶を辿って正体を暴けるんだけどな』
(……すまない)
『そんなつもりで言ったんじゃ無いって。このあとはどうするんだ?』
(そうだ! 艾さんを探さなきゃ!)
2人のリアクションを見ることなく、爻は艾の書店へと走り出した──




