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#73 Heavy Rain 18
「24時間後。こっちも “色々” 返してもらうわよ」
娘を名乗る者に対して、艾は一瞥もくれず歩き出す。
「逢えるといいね! ……何事もなく」
この世界の全てを、自分の都合で書き換えられる能力を持つ “並行世界からの来訪者” ──
先程の電話を妨害したのも、その能力によるものである。
(……わざわざ期限を24時間後に設定したということは、たどり着くのに “プレゼント” が用意してありそうね。ここは闇雲に捜して時間のロスを避ける為にも、爻さんの思考で考えなくちゃ……)
「あっ! そうだった! ママ? “あの人” ママと違ってこの世界に実体がないから、目の前にいても気付かないかもよ。フフッ……面白いでしょ? じゃあ頑張ってねぇ」
(……これが狙いか)
風が花を揺らすより速く、“並行世界の娘” は姿を消した──
(とにかく、まずは爻さんと同じ場所に行かなくちゃ。あとのことは……それから決めよう)




