76/113
#74 Heavy Rain 19
艾には、爻が向かうであろう場所に見当がついていた──
(爻さんならきっと家に来る。私がどこにいるか分からなくても、爻さんならきっと……)
声に出していたら、おそらく弾んでいたであろう心の声。
そして、何かに気付く──
(これはもしかして……私より、爻さんの方が大変なんじゃないかしら)
物に触れることが出来ず、誰にも気付かれないということは、もし危機的状況に陥ったとしても、爻は自分の力で解決しなければいけないということ。
(“あの子” は爻さんに、いったい何を仕掛けるつもりかしら……)
険しい表情のまま、艾は自分の家へと急いだ──
◇◆◇◆◇
その頃、爻は──
(艾さんも同じようなことになっているのだとしたら、すぐに見つけてあげないと!)
人にぶつかることも無ければ、交通量の多い道路を横切っても、どうということは無いのだが……。
(……自分の身体を何かがすり抜けていく感覚って、気持ちいいものじゃないな)
律儀にも、しっかりと交通ルールを守る爻。
(でも、俺達……お互い気付くのか?)




