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#68 Heavy Rain 13
時間は少しだけ遡り──
艾はひとり、暗闇の中にいた。
(……あ、あのぉ? 爻さん? どこにいるんですか?)
『おや? これは失礼しました。まさかもうひとりいらっしゃるとは……』
予想していなかったことが起き、“あの声の主” は珍しく驚いているようだ。
(……爻さん……ではないですね? 爻さんは? それに……ここはどこなんですか?)
『うーん。何からお答えしましょうか。ではまず──』
(爻さんは?)
『ふふっ。彼なら無事です。今頃は……』
(そうですか。ありがとうございました。失礼します)
艾は無事の一言を聞くと、それ以外はどうでもよくなったのか、暗闇の中を歩き出した。
『どちらへいかれるんです?』
(爻さんを捜します)
『それでは、彼と同じ世界へどうぞ……(こいつ、どうやってここへ来た)』
艾が瞬きをすると、世界は色を取り戻した──




