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#67 Heavy Rain 12
(今の声……確かに艾さんだった。間違いない)
爻は繋がらないケータイのディスプレイを見つめながら、周囲に聞こえない程の声でつぶやいた。
いや、実際この世界には存在しない訳だから、声を発したところで注目を集めることも無いのである。
(これは…… “あいつ” のフラッシュバックなのか? だとして、どうして艾さんまで……彼女は無関係なはずだろ?)
考えれば考えるだけ、混乱してしまいそうになる爻。
(はっ! そうかっ! この世界に艾さんがいるのだとしたら……店か!)
ここは数年前の世界──
(まだ俺は艾さんと出逢っていない。だから番号が表示されなかった? ……違うな。非通知は繋がらないように設定していたんだ……ああ、わかんねぇ! 今はとにかく、店へ急ごう!)
爻は書店まで、電車で2駅の距離にいた。
(艾さん、頼む! そこにいてくれ!)




