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#66 Heavy Rain 11
(使えるのか……ケータイ。ん? 非通知……)
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非通知は鳴らない設定にしていたのだが、爻は今、誰かと話が出来ることをうれしくも思っていたので、不思議に思う気持ちを押しのけ、通話と書かれた文字をスライドした。
(……はい)
とは言っても、警戒心を解くことはなく、決して自分からは名乗らなかった。
「あっ、あのぉ……」
この小さく消えてしまいそうな声には、心当たりがある爻。
(……もしかして、艾……さん?)
「……い……どこ……わた…………」
(艾さん? 艾さん!)
電話はそのまま切れてしまい、その後、圏外と表示されて連絡を取ることは出来なかった。
(艾さんが、何でここに……)




