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#57 Heavy Rain 2
ひとつ瞬きの後──
(ここは……【俺】がいない世界……)
今、爻が見ている景色は、茉莉と2人、車に轢かれたあとの世界であるため、これから何が起こるのか分からないのである。
(病院か……気付いた時には俺だけが、この世界に残っていたんだよな。でもここなら、茉莉に何があったのか、真実を知ることが出来る……)
──“自分の目で、真実を見るんだ”
(そういえばあいつそう言ってたよな……)
歩くというよりは、意識を前に集中させることで、景色がスクロールしていく。
病院の長い廊下──
その一番奥──
横切ったのは、爻も知った顔だった。
(万理姉! それに、あれは……茉莉の……)




