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#50 万理華、再び
万理華から送られてきたメールに添付されていた、お店の前までやって来た艾と爻──
「……私、こんなところでお食事なんて初めてなので……緊張します」
「大丈夫ですよ。食事は気楽に楽しめばいいんです。それに、ここは万理姉払いなので、好きなもの頼んでくださいね。遠慮は無しです」
「爻さんは、こういった場所で、よくお食事されるんですか?」
「よくでは無いですけど、まあ……たまにですかね?」
「すごいなぁ……あ、あの? 爻さん?」
「はい」
「私の格好……子供っぽくないですか? おしゃれとかよく分からなくて……」
上体を少し後ろに反らし、艾の全体像を視界に収める爻──
「……うん。素敵です。似合ってますよ」
恥ずかしさと嬉しさから、途端に顔が紅くなる艾。
「サ~メちゃん」
聞き馴染みのある声で、聞き馴染みの無い呼び方をするのは……。
「……あっ、万理華さん!」




