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#45 ボス
「それじゃあ、まずはどこにどんな本があるのか、頭に入れてください。見出しがある訳ではないので、お客様に聞かれたとき、お探しの本を出来るだけ早く見つけられるようにしてもらいたいです」
「ああ、解ったよ」
「それから、こんなのでも私は店主なんですから、お仕事中は上司として接してください」
「かしこまりました。店長」
かしこまっていたのは、言葉だけのハル。
(はぁ……もうハル君は……)
♪────
聞き馴染みのない音楽が、閑散とした店内に響き渡る。
「ん? ……うわっ! やばっ! ボスからだっ! ごめん艾っ! ちょっと電話してくる! すぐ戻るからっ!」
表情がこわばり、余裕も一切感じられない様子のハルは、慌てて表へと飛び出していった。
何事かと思い、仕事の手を止めて、艾のもとへとやって来た爻。
「ボスからだって言っていましたよね?」
「……ハル君」




