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#40 もやもや
懐かしそうに部屋を見渡すハル──
「……あっ、オレが貼ったシール。そのまま残ってる」
聞きたいことが山のようにあるが、何から聞こうか悩む爻。
で、結局……。
「ああ、それ俺もよく集めてたよ」
(おいっ! 俺っ! そんなことどうでもいいだろ! ハル君の子供時代の痕跡が、何でここにあるのか聞けよっ!)
「えっ? 爻君も?! やっぱり同い年だと話が合うよね」
実に楽しそうに話すハル。
「……あ、あの」
「荷物をほどくのは後にして、まずはお店のこと、いろいろ覚えないと。さぁ行こう、爻君」
(かわされた? ……いや、まずはハル君の言うように、お店が最優先だ)
「あっ、うん」
こうして、もやもやを残したまま、爻の勤務は始まるのだった──




