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♯106 数列
以前、艾からは聞いていた──
祖父は体調を崩しているから、今は私が代わりなのだと──
そのお爺さんが何故、艾のことを忘れずにいられるのか、爻には不思議で仕方なかった。
「爻君。まずはお礼を言わなければならないね。あの子を……艾を護ってくれてありがとう」
お爺さんは爻の手を握りながら、深々と頭を下げた。
「俺……何も出来ませんでした。全部護るだなんて……結局、口だけの約束をしてしまいました」
「護ってくれていますよ。ちゃんと。忘れずにいてくれていることが何よりの証拠です」
「あの……そのことなんですが、どうして俺とお爺さんは、艾のことを忘れずにいられるんですか?」
何からどう説明したものかと悩むお爺さんは……。
「爻君? 艾から何か預かったものは無いかい?」
「……預かったもの?」
(……覚えておいて。ナンバー……)
「ナンバー0の9の23……」
ギリギリだった艾が伝え残した数列を思い出した爻──