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君色レイニードロップ  作者: ひな月雨音


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107/113

♯105 変わらぬもの

 ドアの取っ手に手を掛ける寸前、爻(コウ)はその手を止めた──



(……艾(よもぎ)が消えた世界で、この店は誰がやっているんだ?)



 当たり前のように入ろうとしたが、ひとつ間違えば不法侵入になりかねない。



(……一応、鍵は持っているんだ。俺がここで働いていることは、変わっていないだろう……)



 認めたくはない現実を受け止め、爻(コウ)は店の扉を開けた──


 入って一番奥のカウンター。


 いつも艾(よもぎ)が座っていた場所には……。



「……ん?」



 この店の主なのか、ひとりのお爺さんが爻(コウ)に顔を向けた。



「……君は……爻(コウ)君だね? はじめまして……艾(よもぎ)の祖父です」


「艾(よもぎ)のお爺さん? ……はっ! どうして艾(よもぎ)のことをっ!?」



 静かに微笑むお爺さんは、艾(よもぎ)が残した “可能性” の話をし始めた──

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