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♯100 Heavy Rain 45
(爻……いい? このまま聞いて)
言葉にしなくても、思うだけで相手に気持ちを伝えることが出来る艾と爻。
(わかった。でも早くしないと、艾……本当に消えちゃうぞ?)
(……私はもう……戻れない。だからひとつだけ爻に伝えておくね。ナンバー0の9の23……覚えておいて)
(ナンバー0の9の23…………分かった。必ず探すよ)
それは2人の間でだけ伝わる数列──
沈黙を嫌ったのか、並行世界の娘は、わざとらしく落ち込んだような声色で話し始めた。
「勝負は2人の勝ちだけど……ママ……もうダメだよね? ……力を渡したんでしょ? “灰色の天秤”である者が、誰かに肩入れするということがどういうことかは、ママなら理解してるはず……だと思っていたけれど」
「ええ。それを承知で私は、爻さんに“可能性”を託したの」
「本当に残念だわ。“惑星の記憶” から消えれば、もう誰にも思い出してもらえないものね」
明かされた真実に言葉を失う爻──