95話 憧れ
「何の話してるんだろうな。」
ウィルがメグに話しかける。
二人は校長室の中に入れてもらえなかったので、揃って校長室前の廊下の壁にもたれかかっていた。
「なんだろう?でも、テオさんがメモを持ってきたってことは、ダイヤ様からの伝言ってことだよね。」
「…。前から思ってたんだけど、どうしてダイヤさんのこと”ダイヤ様”って呼ぶんだ?」
「ダイヤ様は私の憧れで、命の恩人なの。あの方の種族が何であれ、ダイヤ様は私の神様なの。」
ウィルは少し難しそうな顔をして、首を傾げた。
「神様ね。種族と言うか、階級でそんな人達がいるのは知っているけど…。」
「ウィルには憧れの人っていないの?」
「憧れ…、ニーニャさんかなぁ。強くて優しいし。」
「確かに、ニーニャさんかっこいいもんね。大人の余裕?ってのを感じる。」
二人の間に沈黙が流れる。
いつもはライトが間におり、二人で話すことがほぼ無かったからだ。
「そういえば、入隊試験のときに俺のこと知ってるって、何時会ったんだ?」
「え、本当に覚えてないの?ウィルが東の城に来てすぐだよ。多分お兄さんもその時いたよ。」
「本当か!?俺の兄貴のことで何か覚えてないか?」
「お兄さんのことでしょ…、テオさんとニーニャさんと話していたのは覚えてるんだけど、何年も前のことだから、記憶が曖昧で。ごめんね。」
「いや、いいんだ。すこしでも知れてよかった。」
「本日はありがとうございました。よければ、学校の中を見学していってください。」
「はい、ありがとうございます。」
俺はマーガレットに礼を言い、校長室のドアを開けると、ウィルとメグが俺のことを待っていた。
「本当にここで待ってたんだ。」
「待ってるって言っただろ?」
「いや、それはそうなんだけど。」
ウィルの頭の上にははてなマークが浮かんでいた。
俺はてっきり、メグに言われて先に城に帰っていると思っていたのだ。
「マーガレットさんが校内を見学してもいいって。」
「じゃあ、行こう。」
俺達三人は学校の見学をはじめた。
出発してすぐに、階段を上がろうとすると、上から教員らしき人が降りてきた。
その人は大きな箱をいくつも持っており、その人の後ろにもいくつもの箱が浮いていた。
俺は、箱で前が見えない教員と、もう少しでぶつかってしまうところだった。
「おっと、すまん。当たってないか?」
たくさんの箱を持った教員が俺に話しかけた。
「大丈夫です。手伝いましょうか?」
「いや、いいよ。楽しんで行ってきな。」
教員はたくさんの箱を抱えて、廊下を進んでいった。




