94話 緑の景色
「ここはトヤヘリノ全体を見渡せるし、自然がいっぱいで空気がおいしい!」
ミランダの声が聞こえる。
どこか高い丘の上に大きな木。ここはどこだろう。
「これは、どういうこと。」
マーガレットは混乱しているようだ。
目を大きく見開いている。
「ここは緑の魔導書の記憶の中です。僕が持つ能力で空間魔法、つまり物の記憶を見ることができるんです。」
「そういうことですか。…あれは3人の魔法使いですよね。」
「はい。」
「彼らもあの学校で何年も暮らした…。」
マーガレットは、どこか寂しそうにあの3人を見つめる。
「みんな、学校卒業したら何になるの?」
ミランダが2人に尋ねる。
「俺は父様の後を継ぐから、政治や経済の勉強をしようと思っている。」
「そっか、シルファーはこんなのだけど、王子様なんだもんね。」
「こんなのってどういう意味だよ。」
「まぁまぁ、ふたりとも。ミラは何したいの?」
「私は魔法学校の先生をするわ!」
「ミラ、俺はかなり心配だ。本当に大丈夫なのか?」
「絶対大丈夫!ルカは何するの?」
「僕?ん〜、まだちゃんと決めてないんだよね。誰かの役に立てる仕事が良いんだけど…。」
3人は、うーんと考える。
「お医者さんとか、建築士とか?」
「僕の数学レベルじゃ厳しいよ。」
「南の国の貿易関係の仕事はどうだ?西とうまいことやれたら、経済がもっとよく回るんじゃないか?」
「ん〜、経済かぁ。」
「じゃあ、何がしたいのよ、」
「ゆっくり見つけようかな、とりあえず弟の家庭教師でもしながらね。」
「なんだよ。」
3人は笑いながら、未来の話をしていた。
彼らは学校を卒業したあと、それぞれの道に進んでいくのだろう。
しかし、俺の知っている情報では、シルファーは封印されてしまうし、赤の魔法使いは絶滅してしまう。
本当に彼らに明るい未来は訪れるのだろうか。
視界がぼやけ始めた。俺の能力で見ることができるのはここまでのようだ。
さっきの校長室に戻ってきた。
マーガレットはまだ驚いている様子だった。
「今のがライトさんの能力ということですね。」
「はい、物に触れると記憶が見れたり、古い型の空間魔法を視認したりできます。」
「なるほど、珍しい能力ですね。ダイヤが私に見せたかったものは、これで間違いないでしょう。」
ダイヤがマーガレットに、俺の能力を伝えたということは、この人は信用してもいいんじゃないだろうか。
異世界からきたことも伝えたほうがいいのだろうか。




