93話 confidence
俺は心臓をバクバクと跳ねさせながら、ドアをノックする。
「どうぞ。」
優しい女性の声が聞こえた。
俺はそっとドアを開き、中に入る。
「こんにちは、遠いところからありがとうございます。私は学校長のマーガレットです。」
中にいたのは、白髪ロングの少女。花の冠と緑色の目が特徴的だ。
瞳が緑ということは、人間に近い種族…。
「俺は、ライトです。よろしくお願いします…。」
「後ろの方はお友達ですかね?申し訳ないのですが、今回は二人でお話したいので、お帰りいただけますでしょうか。」
「廊下で待っていてはだめですか。」
ウィルがマーガレットに聞くと、彼女は少し驚いたような顔をしていた。
「えぇ、それなら構いませんよ。」
マーガレットは優しく答えた。
俺はウィルとメグを廊下に置き、校長室のドアを閉めた。
俺を手前の席に座らせ、マーガレットは向かいに座る。
廊下につながっていたドアとは別のドアから、この学校の教師らしき人が出てきた。
その人は、お茶とお菓子を机の上に置くと、静かに退出した。
「すみません。ご迷惑かけてしまって。」
「いえ、大丈夫ですよ。優しいお友達ですね。」
「はい。良い友達を持ちました。」
俺がそう言うと、マーガレットは柔らかく微笑む。
彼女は紅茶を一口飲むと、また口を開いた。
「では、本題に入ります。これをどうぞ。」
彼女が渡してきたのは緑色の表紙にトヤヘリノの古代文字、緑色の魔導書だった。
「これ…。」
「南の国の王シェム様に言われ、東の国の方々にこれを託すことを決めました。
昨日ダイヤに渡そうと思ったのですが、彼があなたに渡してほしいと。」
「どうして僕に、」
「ダイヤが私に見てほしいものがあるそうで。」
「見てほしいもの…。」
見てほしいもの…、多分俺の能力のことだ。
これは、見せても大丈夫なのだろうか。でも、ダイヤがマーガレットに見せたいということは、見せてもいいのか?
俺は頭の中でぐるぐる考え、声に出す。
「ダイヤがマーガレットさんに見せたいものは、僕の能力だと思います。」
「ライトさんの能力ですか。具体的にどのような能力なのですか?」
「空間魔法を見る能力です。口で説明するより、目で見てもらったほうがわかります。」
俺はそう言って緑の魔導書に触れる。
すると、いつものように視界がぼやけ、俺の能力が発動した。




