88話 内緒話
食堂ではテオとニーニャ以外の魔導書捜索班のみんなが、集まって食事をしていた。
そこにテオがやってくる。
「おぉ!テオ!どこ行ってたんだ?
これからみんなでボードゲーム大会するから、ニーニャ連れてきてくれよ!」
テオの姿を見つけて、ソレイユは大きな声でテオを誘う。
「すまんな、ソル。先約があるんや、また誘ってぇ。」
「誰と何するの?」
「ニーニャと…ちょっと言えないこと。」
「えっ、」
ソレイユとリュンヌが驚く。
「これ、ダイヤからライトに。」
「俺に?」
テオは俺にメモ用紙を渡す。
「んじゃあね〜。」
テオは用を済ませると、食堂から出ていってしまった。
「テオは一体ニーニャと何するんだ!?」
「言えないことって、もしかして…」
「魔法石の密輸!?」
ソレイユとリュンヌは声を合わせて言う。
「ソルもリンも声大きいよ〜。テオとニーニャがそんな事するわけ無いじゃん〜。」
「そうですよ。ニーニャさん魔法石なんて興味ないでしょ。」
カレンとウィルが二人をなだめる。
二人が何をしようとしているのかが気になる気持ちは分かるが、魔法石の密輸という考えはなかった。
この世界では魔法石の密輸はかなりまずいらしい。
「ちゃんと渡せましたか?」
「そんな心配しやんでも、これくらいできるって。」
「では開けてもらっていいですか?」
「はいはい。」
テオが扉に手をかけると、他のものと同じような扉から歯車がたくさんついた扉に変わる。
その扉の歯車がくるくると周り、カチッと音がする。
扉が開くとその先に見えたのはテオの自室だった。
中はひんやりとしていて、たくさんの本とモニターがあった。
テオとニーニャが部屋の中に入り、扉を閉めるとテオはドアノブにオーブのようなものをかける。
「これで、よし。」
「相変わらず、すごい部屋ですね。いろいろな意味で。」
「まぁまぁ、ここ座りいや。」
テオは作業机の椅子をぽんと叩く。
ニーニャがその椅子に座ると、テオは床に座る。
「で、俺に何聞きたいん?」
「…あなたは誰の味方なのですか?」
「俺はみんなの味方やで、もちろんニーニャもな。」
「みんなとは、どこまでの範囲なのでしょう。」
「それは、俺が決めれることやないんやけど。」
「では、誰が決めるのですか?」
「…それは、」
テオはニーニャから目をそらす。
「言えないことなのですか?僕にも。」
「っっ…。」
二人の間に沈黙が流れる。
テオがニーニャの方に向き直る。
「訂正するわ、…俺はシルファーの味方や。俺はあいつを基準に動く。
あいつとの約束は絶対守る。ニーニャは守れなさそうやけど。」
「その約束はもちろん大切です。でも、僕は家族のほうが大切なんですよ。」




