87話 心に秘めた
ダイヤはテオを連れて、ドアをくぐる。
ドアのその先は魔法学校だった。
「俺始めて来たかも。」
「まぁ、入学しない限り入ることはないよな。」
廊下をコツコツと歩くダイヤの後ろをテオがついていく。
ダイヤは立ち止まり、ドアをノックする。その部屋は校長室だった。
「入るぞ。」
ダイヤはドアを開き、部屋に入る。
「いらっしゃい。どうぞ座って。」
中にいたのは、白髪に緑色の瞳、花の冠をしている少女だ。
彼女はダイヤを手前のソファーに座らせた。
「あなたも、そこにかけて」
「あ、はい。」
テオも少女に言われ、ダイヤの隣に腰掛ける。
「今日はその格好なのね。」
「お前と話に来ただけだからな。」
「どうして、このきつねくんを連れてきたの?」
「連絡係だよ。」
「そう、はじめまして。きつねくん。私はマーガレットよ、よろしくね。」
「俺は、テオです。はじめまして。」
「で、本題なんだが、どうして気が変わったんだ?」
「シェム様に言われたのよ。私が持っているよりずっといいでしょ?」
マーガレットはそう言って、緑色の魔導書をダイヤに差し出す。
テオは驚いて目を丸くする、ダイヤは眉間にシワを寄せた。
「持って行って、話はそれだけよ。」
「お前はこれでいいのか?」
「いいわよ。…もうこうするしかないの。」
ダイヤは机の上に置かれ、差し出された魔導書を見る。
「―――俺はこれを受け取れない。」
「どうして?」
「明日、少年を一人ここに連れてこよう。そいつに渡してくれ、俺は少し見たいものがあってな。」
「あなたが見たいって、よっぽど面白いものなのね。」
ダイヤがフンと鼻で笑う。
「じゃあ、この話はここで終わり。」
ダイヤがそう言うとテオがマーガレットに一礼して部屋を出る。
「なにか話したいことがあるの?」
「さっきみたいな硬い話じゃないよ。」
ダイヤは組んだ足に肘を置き、頬杖を突く。
校長室を出たテオは城に戻ってきた。
ダイヤの魔法で学校と城を繋いでいたドアは光をしずめる。
「おかえりなさい。」
「わっ!」
たまたま通りかかったニーニャに驚き、テオの毛が逆立つ。
「どこに行っていたんですか。」
「魔法学校やで。ダイヤについて来てほしいって言われたんや。」
「ダイヤは?」
「まだ、マーガレットさんと話してるで。俺はライトに伝言しに帰ってきたんや。」
「魔導書のことですか?」
「まぁ、そんな感じやな。」
「…テオ、二人で少し話しませんか?」
「奇遇やな!俺もおんなじこと考えててん。」
「あなた、僕に何か隠していますよね。」
「お前、俺に何か隠しとるやろ。」




