17話 会議
二次試験についての会議が始まった。
「今年の二次試験受験者は四人だね。」
クロムが資料を見ながら言う。
「一人はウィルだろ?大きくなったよな。」
「もう一人はメグちゃんだよね!最後にあったのいつだっけ?」
褐色肌で金髪、頭に稲妻のような形の角が生えた少年少女が話している。
「あと二人の情報は無いん?」
「ライトという少年がいますよ。」
白髪の狐の耳と五つの尾が生えた関西弁の青年が聞き、ニーニャが答える。
「あと一人はどっかの貴族の息子だったはず、、
今年も試験中の城の防衛は頼んだよ。ヴァイオレット。」
クロムは金髪で、たくさんリボンとレースが付いた服を着ている少女をみた。
リボンの少女、ヴァイオレットは頷いた。
クロムがまた口を開く
「この話もなんだけど、実はもう一つ… 魔人が発見されたようだ。」
この一言で空気が重くなる。
「なんでそんな事になっとるん。」
「原因はわかっていない。」
狐の青年の顔が青くなった。答えたクロムも下を向く。
ヴァイオレットは恐怖からか少し震えていたが、
両サイドに座っている褐色肌の金髪の少年少女に手を握られ、落ち着いたようだ。
「原因なんだが、」
ダイヤが話し始める。
「テオに調べてもらっている、最近異世界人の出没が増えているらしい。」
「それがなんか関係あるん?」
「異世界人がこの世界に来るとき、少し世界の空間が曲がるんだ。
前の襲来の時も異世界人がたくさん来たが、今回の方が人数が多い。」
ダイヤが話し終わったのか、紅茶を飲む。
すると、クロムの隣りに座る金髪の少女が口を開く。
「前回の襲来ってお父様のときでしょ?
どう対処したの、ダイヤ。」
「前回は俺が国全体を結界で覆った。”そのくらい”で対処できたからな。
でも、今回はどうなるか分からない。」
ダイヤは紅茶をもう一口飲むと続けた。
「この国はお前ら二人の国だ。最終的にすべてを決めるのはお前らだからな。」
「わかってるよ。父さんもそうしたんでしょ?」
クロムが言うとダイヤは頷いた。
「厳しく言ったつもりかもだけど、ホントは心配なんでしょ。」
「ダイヤは優しいから放っておけないんだよね。」
「———小鬼め、…」
褐色肌の少年少女はからかっていたが、ダイヤが静かに睨むと、静まった。
ヴァイオレットはクスクスと笑っている。
「国のことを決めることはできませんが、手伝うことはできます。」
「せやで!みんなで頑張れば大丈夫や。」
ニーニャと狐の青年はダイヤの肩に手をのせる。
「お前らのためなら何でもやるよ。」
ダイヤはティーカップに目を落としたまま言った。
クロムは嬉しそうに微笑んだ。




