15話 魔法学基礎
ダイヤに花魔法について教えてもらうことになった。
「まず花魔法って名前ではあるんだが、イメージ的には自然魔法だ。自然の力を借りて魔法を打つってことな。植物はもちろん風や土なんかもそうだ。」
なるほど花魔法というから植物限定なのだと思ったが、自然魔法というとわかりやすい。
「花魔法は基礎魔法のひとつで、そこから派生したのが雷、氷、岩、水の四つだ。花魔法が使えないとこの四つの魔法は使えないからな。」
「基礎魔法は他に何があるんですか?」
「基礎魔法は炎、花、光、闇、超の五つだ。ちなみに力は超魔法の派生な」
「それは僕も知りませんでした。」
ニーニャが言うとダイヤがびっくりしたような顔でニーニャの方を見た。
「俺教えたはずだけど…それに先に超魔法の練習からしただろ。」
ダイヤは呆れているようだ。
「まぁいい、花魔法でいちばん大切なのは気持ち、自然を思う気持ちだ。強い気持ちと魔力があればその分
強い魔法になる。この槍にはとても強い魔力があるから、あとはお前の気持ち次第ってことだな。」
そう言うとダイヤはほうきから降りた。
すると、降りた足元に花が咲き、彼の立っている場所が小さな花畑となった。
「俺はこの魔法が好きだ。構造は複雑だが、とても美しい。
知識はここまで、実際に使わないと上手くならないからな。」
この槍を選んでから久しぶりに持った。今日はダイヤが手合わせしてくれるようだ。
貫禄はあるがこんな小さな子に刃物を向けるのは少々心が痛む。しかし、実際このような場面があるかもしれないと思い、俺は槍を構えた。
ダイヤは手を前に出すとそこから氷の剣が形成された。サイズは小さいが、水晶のように透き通った剣だ。
ダイヤは片手で剣を持ち、構えた。
「とりあえず、思うように魔法を使ってみろ。大切なのは”気持ち”だからな。」
俺はうなづいた。少し不安があったが、前と同じように地面に槍を刺した。
すると、前回と同じように空に放り出されてしまい、地面に落ちた。
それを見たダイヤは俺に近寄って来た。
「イメージが足りてないんじゃないか?
イメージできないことは魔法ではできないし、失敗することや不安が頭の中にあれば、その分失敗しやすい。」
たしかに、さっきは前のように失敗してしまったらどうしようという良くないイメージが頭の中にあった。だから前と同じようになってしまったのだろう。
俺は魔法の成功例をイメージした。俺の足元ではなく、ダイヤの足元にツタを生やせば宙に放り出されたダイヤに攻撃が当たるのではないか?
俺はダイヤの足元を意識してもう一度槍を地面に刺した。
すると、ダイヤの足元からツタが生えてきた。
しかし、さっきのとは違い細くて弱々しい。
ダイヤにもひょいと避けられてしまった。
「イメージはさっきより上手くできたみたいだな。多分こういうかんじのことがしたかったんだろ。」
そうダイヤが言うと俺の足元からまたツタが生えてきた。そのツタは俺の足を引っかけ、俺は尻もちを着いてしまった。
ダイヤは素早く俺に近づき、俺に剣を向ける。
「あとは練習あるのみ。イメージに合った魔法が打てるようになれば、一人前だ。」
ダイヤが言うと氷の剣は水になり、地面に落ちた。




