13話 信じるもの
「ここに槍を刺してみてください。」
そう言って地面に向かって指さした。
俺は両手でやりを持ち、地面に槍を刺した。
「わあっ!!」
槍を刺した地面から勢いよく太いツタが伸び、俺は空中に放り出されてしまったのだ。
俺は地面にドサッと落ちてしまった。
「大丈夫ですか!」
ニーニャが駆け寄り、俺に声を掛ける。
「大丈夫です。少しびっくりしてしまって、、」
俺は立ち上がった。
ニーニャが槍をジロジロと見ている。
「どうしたんですか?壊しちゃいましたか?」
「いや、壊れてはいないんですけど、魔法ツールにしては威力が大きいなと思いまして。」
たしかにさっきのニーニャの説明だと”簡単な魔法なら使える”といっていたが、今のは簡単な魔法ではなかったのだろうか。
しかし初めて魔法が使えた喜びのほうが俺の中では大きい。
「あ、」
ニーニャが呟いたので彼の方を見た。
「小さいですが、魔法石が埋め込まれていますね。」
「魔法石ってなんですか?」
「魔法石は、魔導書と同じように魔力を増幅させる道具です。かなり高価なんですが、魔法石職人の方が作ったものが店で売っています。物につける用と人が使う用があるとは聞いていましたが、物用は初めて見ました。」
どうやら、その魔法石でこの槍にある魔力が増幅していて、魔法の威力が上がっているらしい。
「俺これに決めます。」
そういうとニーニャは心配そうな顔をした。
「魔力が強い魔法ツールは他のものよりリスクも高いです。それも考慮してください。」
「はい!たとえリスクが魔力の分大きかったとしても、俺はこの槍を使いたいです。」
「、、、わかりました。では、練習しましょう。ここから実践編です。」
その頃、中庭のガゼボではクロムとダイヤが二人で話し合っていた。
「まさかダイヤがライトの入隊を許すと思っていなかったよ。」
「入隊試験を受ける権利を与えただけだ。入隊を許可したわけではない。」
「ダイヤはライトが入隊試験合格しないと思っているかもしれないけど、彼なら大丈夫だと僕は思うよ。」
「俺も受からないと思っているわけじゃない。あいつのことに少々ひっかかることがあってな。」
そう言ってダイヤは先程ニーニャが持っていた分厚いファイルを開いた。
「それ何?」
「さっきニーニャに頼んでテオに調べさせた。異世界人に関する情報だ。やっぱり何かひっかかるんだよなぁ。」
「僕が大丈夫だと思って連れてきたんだから信用してよ!」
「俺は”お前が連れてきた客を信用しなければならない”という契約を結んだことないぞ。」
クロムが頬を膨らませる。
「…すべて、お前のためだから。」




