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怪談集  作者: appipinopi
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17/17

首が、

「深夜の公園に、生首が現れる。」

そんな噂がSNSで広まっていた。

写真はない。

動画もない。

ただ、「見た」という書き込みだけが増えていく。

大学生の悟は、作り話だと思った。

「確かめればいい。」

そう言って、毎晩同じ公園へ通い始めた。


【一日目】

普通の夜の公園。

街灯の下では酔っ払いが笑い、犬の散歩をする人が通り過ぎる。

噂らしいものは何もない。

「やっぱりデマか。」

悟はそう思い、帰宅した。


【二日目】

淡い月明かりの公園。

昨日とほとんど同じ光景。

酔っ払いもいる。

ベンチにはスマホを見ている人。

ただ、一つだけ違和感があった。

滑り台の下で、誰かがしゃがんでいる。

近づこうとすると、その人は立ち上がり、暗闇へ消えていった。

「気のせいか。」

悟はまた帰った。


【三日目】

風が強い夜だった。

公園には誰もいない。

静かすぎる。

その時だった。

「……。」

小さな音。

ボールでも転がるような音がした。

コロン。

コロン。

音だけが近づいてくる。

悟は街灯の先を見つめた。

暗闇から丸いものが転がってくる。

サッカーボール。

……ではなかった。

人の首だった。

目は閉じている。

髪が地面を擦りながら、ゆっくり転がってくる。

悟は息を止めた。

次の瞬間、その首の目が開いた。

「見つけた。」

そう笑った。

悟は悲鳴を上げて逃げた。

振り返る勇気はなかった。


翌朝。

ニュースにも事件はない。

公園もいつも通りだった。

「夢だったのか。」

そう思い始めた頃、スマホに通知が届いた。

昨夜、自分で録画していた動画だ。

震える手で再生する。

最初は何も映っていない。

しかし最後の数秒。

画面の端に、自分の後ろを転がる首が映っていた。

そして、カメラへ顔を近づけ、小さく笑って言った。

「今日は、首だけ。明日は、お前だ。」

悟はその日以来、姿を消した。

警察は家宅捜索をしたが、部屋にはスマホだけが残されていた。

最後に開かれていた動画には、もう一人映っていた。

画面いっぱいに笑う生首。

そして、その後ろには――

首のない悟が、公園の入り口に立っていた。


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