34・反省
「何、心配はいらんよリシアさん。移動できるこの浮遊石があるのだから、後は他の浮遊石と近づければいい」
「他の浮遊石と近づける? 浮遊石同士は衝撃を受けたら上がってしまうのよね?」
「ぶつかればそうだが、近づけるだけにするんだよ。どうやら浮遊石は、二種類あるみたいでね。同じ種類同士を近づけると上昇するが、違う種類同士だと下降する。見た目ではわからないからいくつか移動して、今乗っているものと下降する相性の浮遊石を探してみようじゃないか」
私が高い所を意識しすぎて乗っている石の中央から動けないので、景色は見ずに、コシマさんに言われた通り少しずつ暴発を当てて移動させる。
コシマさんには手の届く浮遊石を取ってもらい、三つ目の浮遊石を寄せると、ゆっくり下降し始めた。
足元から落ちていくようで、気味が悪いわ……。
生きた心地がしないというのは、こういうことなのね。
ゆっくりとはいえ、私が乗っている石にへばりついてじっと耐え続けている間、コシマさんは手に持った浮遊石を操って下降させてくれたので、ようやく地面に着くことが出来た。
ボリーは私たちの姿に気づくと、嬉しさのあまり鳴いて呼び始める。
コシマさんは顔をほころばせて向かうと、レオルがすぐリードをつけるように頼みながら苦笑した。
「コシマさん、愛犬を自由に走らせてやりたいのはわかるけど。ボリーはまだ子どもっぽいところがあるから、この近くはやめておいた方が良いよ。コシマさんを夢中になって探して、浮遊石に突っ込んでいくところだったし」
「いやはや、迷惑をかけてすまなかった。レオルさんとリシアさんが来てくれなかったら、大変なことになっていたかもしれん。気をつけるよ。ボリー、ここは危ないから、野原へ戻ろうな」
浮遊石が漂っている中、コシマさんはボリーのリードを引きながら、いそいそと野原の方へ戻っていく。
レオルが私のそばに屈む。
コシマさんと話していた時は口元が笑っていたけれど、それを隠すように、わざと怒った顔を作っている風に見えた。
「リシア、コシマさんがいなかったらどうやって降りるつもりだったんだ。浮遊石が自然と下がってくるまで待つつもりか?」
「それしかなかったわね」
「……開き直るなよ。本当に危険だったからな」
「反省しているわ。私、自分で思っていたよりずっと間抜けだったの、ごめんなさい」
心を込めて謝ると、レオルは耐えられないという風に笑い始めた。
「本当だよ。でも、俺だけじゃコシマさんを助けることはできなかったな。ありがとう」
レオルは両腕で私を包み込む。
「無事で良かった」
腕に込められた力の強さが少し苦しいけれど、さっきまでの高い場所にいる恐怖が抜けていくような気がした。
そのまま私はレオルに横抱きにされて、コシマさんの後に続く。




