14・史上最高の錬金術師
【 猫?の石像 149 】
作りすぎたわ……。
149個のガラクタに絶句する私の横で、ディノが熱心に解説してくれる。
「同じ種類だとこんな風に、グループでまとめられて数が表示されるよ。それぞれの情報を知りたかったら、詳細も確認できるんだ!」
ディノが石板に浮かんだ【 猫?の石像 】の文字を押すと、149個の狂気の表情を浮かべる猫の石像が、小さな画像付きでずらりと並んだ。
怖すぎるわ……。
ディノがその内のひとつを軽く叩くと、画像が拡大されて、下に説明が入る。
【 猫?の石像 】
この世のものとは思えない形相をした、猫らしき化け物が彫られた石像。
使っても何も起こらない。
見たところ、収納箱の情報は正確そうね。
沈んだ表情の私を見て、ディノが心配そうに声をかけてくる。
「フィリシア、すごく疲れた顔をしているよ。錬金しすぎたんじゃないかな?」
「そうね。夢中になって作っている時は気づかなかったけれど。作った物を見ていたら、気が滅入ってぐったりしてしまったわ」
「その程度なの? すごいや! エドランよりもずっと魔力が使い放題なのは間違いないよ! フィリシアは錬金を始めた初日ですでに、史上最高の錬金術師なんだ!」
だけど作っているのは大量の不気味な物で、こんなにすごい収納箱にそれだけを詰めているのはどうなのかしら……。
振り返ると、ずっとそうして見守っていてくれたのか、倒木に腰を下ろしているレオルと目が合った。
その一瞬、私を見つめる穏やかな眼差しにどきりとしたけれど、すぐいつもの涼しい表情に戻る。
彼を長く不毛な時間につき合わせたけれど、全く嫌な顔を見せる様子もなかった。
だけど彼が自分ではなくディノの彫像を作らせるように仕向けた理由は、なんとなく予想がつくわ。
「ねぇレオル、この収納箱を使えば、たくさん採取しても保存に困らないと思うの。さっき採った蜂蜜も、喜んでくれる人がいるのよね? あなたの住んでいる所に帰るまでに、色々採っておみやげにしてもいいかしら」
「そうだな。きっと喜ぶよ。俺も収納箱を借りてもいいか?」
「もちろん」
レオルは収納箱を開けて、自分の鞄に詰めていた物をしまっていく。
すると石板の詳細画像は消えて、入れた物の名前が羅列された。
【 猫?の石像 149 】
【 蜂の巣 1 】
【 マジックハーブ 32 】
ディノの説明だと鮮度も心配いらないようだし、欲張ってたくさん収納したくなるわね。
「私、色々探してみるわ」
走り出した私に気づき、収納箱を興味深げに眺めていたレオルが慌てた様子で声を張った。
「リシア、危ないからひとりで遠くへ行くのはやめろよ。俺も行く」
そう言ってくれたけれど、私はレオルと一緒にいて、少しずつ彼のことがわかって来た。




