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エピローグ ーー分岐点ーー

無事に勇者を助け、魔物を倒したギルは……。


本日を以て、この作品は一旦終わりを迎えます。

まあ原因は人気の不振です、いわゆる打ち切りエンドというやつですね。


他にも連載がある身としては、これを描き続けるより、他の作品に力を入れようという魂胆です。

応援してくださった方には申し訳なく思いますが、一先ずの連載終了をご了承ください。


再開希望の声が多ければ、再開の目もありますのでよろしければお願いします!

他の作品も、どうか見ていってくださると嬉しいです。

「ありがとうございました!」


 勇者が深々と頭を下げる。


「ああ、別に構わない。乗りかかった船ってやつだ」


 魔物を倒した後は何事もなく森を抜けることができた。


 それじゃあやっぱり前世の勇者は、スフィアスピナと戦って力及ばず負けたのだろうか?


 少々釈然としないが、まあいい。

 どうせ考えても分からないことだ。

 勇者が生まれなくなった理由は別のところにあったのかも、勇者を助けたことで、その問題が解決したのかも、俺には分からない。


 だが、一つだけ確かなのは……勇者が特に大きな怪我もなく助かり、少なくとも彼女の運命は、前世とは変わったのだろうということだけだ。


 とりあえずこれで良しとしておこう。






 しばらく俺達は並んで歩き、勇者と初めて会った河原までやってきていた。


 俺達はどちらともなく立ち止り、朝出会った場所で向き合った。


「ここであなたに声をかけて良かったです」

「ああ、そうだな」


 勇者と会わなければ俺も封印門なんかに行かなかっただろうしな。


「やっぱり出会いは大事にしないといけないということですね」

「……その言葉って誰かに聞いたのか?」


 勇者はあいつと同じようなことを言っている。

 住んでいる場所も王都だし、もしかしたら勇者とあいつは知り合いなのかもしれない。


「はい、私を拾ってくれた神父様の言葉です」


 やっぱりだ。


 あいつは父親代わりだって言ってたが、多分その神父は同じ人物だろう。


「ところで、助けてもらったお礼って本当にしなくていいんですか?」

「ああ、俺は目立ちたくないんだ」


 今目立ったところで、そこまでメリットはなさそうだからな。

分岐感(ターニングセンス)】も発動しなかったし……。


「その……私にできることなら、何でもしますよ?」


 何でも、か……。

 甘美な響きだが、特にしてもらいたいことなんて……いや、ダメ元で一つ頼んでみるか……。


「……あのさ、それなら顔に大きな傷を負った同い歳くらいの女の子って知り合いにいないか? 眼帯とか付けてると思うんだけど……」

「眼帯……ですか? そんな人は記憶にないですが……」


 首を傾げ、顎に手を当てて考え込んでいるが、有力な情報は思い出せないようだ。


「あ、いや、いいんだ。でも、もし俺が言った人間がいたら……その子と友達になってやってくれ」


 あいつは仲のいい友人がいないと嘆いてたからな。

 まあ、ちょっと影がある奴だったから無理もないかもしれないが。


 今の俺にしてやれることはこれくらいだ。

 でも、三年後には会いに行けるから……。


 それまでは待っていて欲しい。


 と言っても、あっちは俺のことなんて知りもしないだろうけどな。


「その方の名前は分からないんですか?」

「ああ……いや、良いんだ。会えばすぐに分かるだろうし」


 あいつ偽名使ってるって言ってたから、ちゃんとした本名知らないんだよな……。


「わかりました、私もあまり友達をつくることは得意ではありませんが、できる限り努力してみます」

「ああ、ありがとな」


 俺は少しだけ口角を上げる。


「それじゃあ、少し名残惜しいですが……ここでお別れですね」

「ああ、そうだな……」


 名残惜しい……確かにそうかもしれない。


 出会ってあまり時間は立っていないが、最初に出会ったときから感じていた懐かしさは、今も消えることなく俺の心に残っている。


 なんとなく彼女とは昔からの知り合いのような気がしているのだ。


「あのさ……さっき友達になれるか不安がってたけどさ。あんたと結構雰囲気が似ているから、気が会うと思うぜ? それに、あんたの目は似てるんだよな。あんたの赤い瞳と違って、そいつの瞳は青だけどな……」


「そ、そうなんですか?」

「ああ、だから大丈夫だ」


 もう既に空は夕暮れに染まりきっている。

 まるで彼女との別れを示唆しているかのようだ。


「それでは、お気をつけて」

「ああ、そっちこそな」


 そう言った後、俺達は互いに反転し、別の道へと歩いていった。


◆◇◆


「そういえば名前くらい聞けばよかったですね」


 私はあの男の子と別れた後、誰にともなくそう言った。


 青い瞳の顔に傷を負った女の子……。


 やはりいくら考えても記憶にない。


(それにしても青い瞳、か……)


 私が勇者の力に目覚める前は、青い瞳だったけど……彼の探している人は私ではないのだ。


(友達になんて、多分、なれないです……)


 彼が助けてくれたとき、神父様の教えの通りに、たくさんの出会いの中の、一番大切な人と出会えたのだと思った。


 でも、そんな彼は他の人に思いを寄せている。

 そして、そんな彼に思われている女の子を、好きになれる自信がない。


(どうしようかなあ……)


 それでも彼に嫌われたくないから努力はしてみよう。

 まず見つかるかどうかも分からないし。


(あれ? そういえば、私勇者って名乗りましたかね?)


"おい、勇者。もっとこっちに近づけ"


(ふ、ふふ……)


 私の中に疑問が生まれたが、彼の勇姿を思い出せば忘れてしまうくらい、そんなことは些末なことだった。


(ああ……強かったな……)


 とりあえずあのときのかっこよかった彼のように、魔法剣を使えるように頑張ってみようと、私は心に誓うのだった。


◇◆◇


「そういえば名前聞き忘れてたな」


 こんな田舎にいると、世界的に有名な勇者という存在のはずなのに、彼女の名前の情報すら入ってこない。


「まあいいか……。これからあの子は強くなって、これからも活躍してくれるだろうからな……」


 運命分岐がなかった以上、彼女が死ぬ可能性は低いのではないかと思う。

 その内ここまで名が轟く勇者になってくれるだろう。


「俺達はいつ会えるのかな……サファイナ……」


 これから良い方向へと変わっていくであろう未来を想い、俺は思わず久しぶりに、愛しい思い人の名を口にした。


 家はもうすぐそこまで迫っていた。






「美味しかったよ」


 母親の作る魚料理は絶品であった。

 何故昔の俺は、魚というだけで嫌っていたのか、疑問に思ってしまうほどだ。


「そういえば……お前はやはり家を出るつもりなのか?」


 不意に親父が俺に質問を投げかけてきた。


「え、どういうことだ?」

「昔から言っていただろう? 畑を耕したり、猟をしたりして暮らしていきたくないとな」

「ああ、確かに言ってたけど……」


 何故今それを言うのだろうか?

 こんな会話を親父とした覚えがない。

 元々親父は家を出るのは反対してお、そういったことを話題に出さないようにしていた節があるのだ。


 親父の考えが分からず、言葉に詰まってしまう。


「母さんが言ってたんだよ。お前が朝から人が変わったように妙な落ち着きがあったとな」


 様子がおかしいから会話をしようっていうことか?


「ああ、ちょっとは落ち着かないとなって思ってさ」

「そうか……今のお前なら出ていくのも許しても良いかもな」


「えっ?!」

「……あのな、俺もお前に意地悪したくてああいうことを言っていたわけじゃない。大人になりきれない精神の者に、村の外はキツ過ぎる。だから、俺は止めていたんだよ」


 そうだったのか……。

 でも前世では十五歳でも許してもらえなかったぞ?


 まあそうか、十五にもなって食べ物の好き嫌いばかりなクソガキだったよ、俺は……。

 家を出て、親父やおふくろに感謝するようになったくらいだからな。


「まあ、もちろんきちんと成人を迎えてからだがな……。それで、どうなんだ? 出ていくのか?」


 親父のその言葉の後、世界が凍る。


(これは……選択のときってことか……)


 どうしようか?


 確かにあいつには会いたいが、ずっと村の外にいなけりゃならないってわけでもない。


 俺は少し悩んだが、すぐに心は決まった。

 時間は元に戻り、俺は意を決して親父に向き直る。


「親父、俺は――」


 これからのことに思いをはせながら、俺は親父に自分の気持ちを告げたのだった。

この選択から先の物語は、ギルのみにしか分かりません。


それでも見たいという方は、評価ボタンを押していただければ、見れる可能性が芽生えます。

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