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劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです  作者: 山外大河
二章 魔戦開戦編

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25 世界の壁 中

 暁の位置は住宅の塀で左右を囲まれている。

 タックルや魔術でその塀を破壊するかもしくは飛び越えれば問題が無いように思えるが、そもそも塀をタックルで壊すのは軽い自爆行為だし魔術を塀の破壊に使おうと思えば、その一瞬の無駄な行動時間だけで付け込む隙を与え付け入る隙を削られる。飛んで飛び越えるのは上空から魔術弾の雨が降ってきている時点んで論外。

 という以前にそもそも攻撃を仕掛けている側の暁がそんな回避の手段を取るのだとすれば、その行動そのものが大きな無駄でしかない。

 即ち赤坂だけがこの攻撃を防ぐ事無く回避する術を持ち合わせている。

 ……だが。


(いや、ちょっと待て!)


 実行前に踏みとどまった。

 多分これに気付けたのは偶然だが、間違いなく命拾いだ。


 おそらく目の前の暁という男がこの地形を頭に入れずにこんな行動をしてくるかといえばそれは否だ。

 回避して、民家の中に入ってしまえば赤坂の取り得の一つである機動力を完全に潰される。

 だからそこは追い込むためにあえて空けてある可能性があった。


 ……つまりその選択肢は取れない。

 では、どうすればいいのか。

 その答えはすぐにでた。

 そう、文字通りすぐに。

 民家に飛び込む事への否定して出された代案を出すまでに掛かった時間は一瞬。これだで嫌という程渚に

鍛えてもらった過程でそうした判断力はおのずと身に付いた。

 この場合確実な答えは現時点で出す事は出来ない。

 だけどもっとも可能性が高い回避方法は……上へ飛ぶ事だった。


 だから赤坂は雷撃と暁をギリギリまで引き付けた後、雷撃と刃を躱せるギリギリの出力で地面にバーストを撃ちこんで跳びあがった。

 結果赤坂の体を貫通した魔術弾は、赤坂になんの影響も与える事はない。

 ……幻術だ。


 そもそも暁は雷撃を放つ為に一度遠方に壁を作り、そこに魔術弾を打ち込むというプロセスを行ったのだ。

 それと比べればこの魔術弾の雨はあまりに突拍子がなさすぎる。

 それが放ったれる予備動作が不自然な程になさすぎたのだ。

 だからそれが幻術である事に。

 いくら暁であっても突拍子もなく遠方に何もない空間から魔術弾の雨を降らせることは出来ないと、そう賭けた。

 そして、それを見ぬけた今、後は攻めるだけだ。

 攻撃を躱した瞬間。暁が赤坂へ放った刀が空を切りって、同時に雷撃を防いで隙ができている筈の暁に向けて、雷撃の効果範囲分距離は空くが、空中からフルパワーのバーストを打ち込む。

 それができたらここぞという時の五秒間だけの奥の手、フル出力の肉体強化で一気に畳みかけてやると。

 ……そうなる筈だった。


(……ッ!?)


 だがあろうことかバーストで宙に跳びあがり勢いで回転する赤坂の視界に映ったのは、ノーガードで雷撃を受け止める暁。

 壁に打ち込まれた魔術弾が風を切った音。赤坂が躱した時に僅かに感じた熱量。それで確実に幻術ではないと判断できるその一撃を、暁は受けきったのだ。


 それはまるで全てを無効化した様に。


 そしてそれを無効化した暁隼人には……ある筈の隙がなくなっていた。


 やや距離が空いた所から放たれるフルバーストに、暁は結界を張り巡らせる。

 次の瞬間、バーストと結界がぶつかり合う激しい轟音が辺りに響いて……だがしかし、破砕音は響かない。


「……ッ!?」


 視界の先では暁隼人を守る為に、粉々になりかけた罅だらけの結界が展開されていた。

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