新たな災難
ダイガク怖いです。なんですかあの人の数!
王都に帰ってきた僕は、一吾達と別れギルドに向かった。ギルドの受付には珍しくロバートさんがいた。
「あ、どうも。やけに疲れた顔してますね」
「誰かさんが大量の行方不明者と、犯罪者の首を送りつけてきたからな」
「誰でしょうね、その善人」
「……とにかく、全員無事に返したぞ」
「盗賊に懸賞金とかなかったんですか?」
「あった。全額被害者に配ったぞ」
「……粋なはからいですね」
「だろ?」
絶対に後処理が面倒だった腹いせだと思う。
「とりあえず今日は帰りますね」
「おう、多分面倒ごとが持ち込まれるだろうが、頑張ってな」
悪い予感しかしないぞ。僕はぞわりと寒気を感じ、家路を急いだ。
ー
家に着くと、一吾が紙を渡してきた。
「王様からだってよ」
紙には明日の夕方に王城に来るように書いてあった。
ー
次の日の夕方、王城にて。
「よく参ったな。非天の勇者よ」
「……賢者サマから聞きましたか」
前からうっすらバレていたけど、レイナのせいでバッチリバレた。
「まあな。今日は頼みがある」
王は苦い顔をしていた。これが昨日ロバートさんが言ってた面倒ごとだな。
「先日、神聖国家に行った勇者たちと連絡が途切れた」
「幽閉でもされてるんですか?」
「その可能性が高い」
「相変わらず神聖国家は勇者が嫌いですね」
僕の時も神聖国家と色々揉めた。神に認められた勇者は我が国に忠誠を誓うべき、そう思っている方々が沢山いる。それでちょっかいを出してきた神聖国家に、僕たち勇者一行は仕返しをした。まず大事にしまい込んでいた聖女レイナを誘拐し、さらに聖女に関する記憶を全て消去。総本山たる中央教会を崩壊させ、神聖国家に壊滅的なダメージを負わせた。聖女レイナは今、賢者サマとして立派にやっている。そして神聖国家にダメージを負わせた一行の子孫が王様というわけだ。
「また神聖国家から誘拐ですね」
「そうなるな」
「仲間を連れていってもいいですか?」
「構わん」
そこまで話したところで、一人の兵士が焦った顔をして走りこんできた。
「申し上げます!」
「なんだ」
「勇者サトウ、シラサワ、モリヤマが賊に攫われました!」
「なにぃ!?」
おいおい、何やってんの三人とも。たしか今日は商隊護衛の依頼を受けていたはず。
「ああ……」
僕はなんとなく状況が想像できたので頭を抱えた。
「どうした水月よ。たしかサトウ達はお前と共に行動していたな。イチジョウ達の救助はサトウ達の後にするか?」
「その必要はありません。今回のこと、両方僕が片付けましょう」
「良いのだな?」
「はい」
僕は王城を出た足でギルドに向かった。
「ギルドマスターを」
「はい、すぐに」
受付に言うとすぐに奥の部屋に案内された。
「一吾達の件は知っていますね?」
「ああ、商隊護衛の依頼をしたのは盗賊共だろう。それで一吾たちが依頼を受けたのを狙って攫っちまったんだろう」
「神聖国家も絡んでいます」
「なに?」
「盗賊もわざわざ強大な力を持つ勇者は狙わないでしょう。それを狙ったということは相当な報酬で誰かに雇われたということ」
「神聖国家が金を出したな?」
「そのくらいです。魔族に立ち向かう勇者を邪魔する物好きな人間どもは」
「で、どうする?」
「剣聖を呼んでください。あと、王家の聖剣の継承者も」
「わかった。ちょっと待ってろ」
ー
しばらくして、二人の人間が僕の前に現れた。
「よお勇者。本当に非天だったんだな」
「やぁケヴィン。ちょっと手伝ってもらうよ」
「わたくしもいますよ?」
「あ……」
クリスティーナ・シュルツ!一条とピンク色の空間を作っていた子じゃないか!
「まさかあなたがアロキの継承者ですか」
「伝説の勇者様に敬語を使われるのは嫌です」
「はぁ……じゃあクリスティーナ、よろしく。僕も水月でいい」
「ええ、よろしくおねがいします!」
「それで、なにすんだ?」
「千年ぶりに、神聖国家を潰そうか」
「はぁ!?」
「ええ!?」
「二人の力が必要なんだ。エルキュールとアロキの」
「本気で言ってんのか?」
「勇者が神聖国家に閉じ込められている。聞いているだろ?」
「ええ、お父様から聞きました」
「だから取り返しに行く。知っての通り僕は聖女レイナを誘拐している。それは二人の先祖と一緒にやったことだ。神聖国家に忍び込んで勇者を取り戻すのは二人に手伝ってもらわないと出来ない」
「いいぜ!」
「わたくしもやります!伝説の勇者様と一緒にやれるなんて貴重な体験です」
「じゃ、行こうか」
僕は二人と共に馬車に乗り込んだ。




