け、計算のうちだ。
ふむ、ここまで白沢が強くなっていたとは。一条よりも普通に強いんじゃないだろうか。何か僕のスピードにもついてくるし。僕は地面を蹴ると、白沢に突っ込んでみた。
「くっ!」
白沢は結界を張って僕の斬撃を防いだ。
僕は後ろに跳んで距離を取る。うーん……なんでこんなに白沢は強いんだ?どんな修行をすればここまで急成長できるの?僕が考えていると、また周りに無数の魔法陣が浮かんでいた。非常にまずい。
パチンッ、白沢が指を弾く。
「デトネーション」
2回目の凄まじい爆発が起きた。僕はいつもの感覚で「鴉」を振る。
「やばっ」
爆炎を防ぎきれず、吹っ飛ばされた。
「くっ、流石にここまでとは」
なんとか起き上がり、白沢を見据える。
……待てよ?「いつもの感覚」だって?
いつもの感覚で斬れた物がきれなかった?
僕はここである可能性に気づく。
「ウィークネスをかけっぱなしでは無いのか?」と。
まっさか〜。非天の勇者ともあろう者がそんな凡ミスするわけ………ありました。ハイ。
狐面を被っていて本当に良かった。僕の顔は真っ赤になっているだろうから。僕はウィークネスを解除した。パリンッと何かが割れる音がして、体に力が戻ってくるのを感じる。
「ーッ⁉︎ライトニング」
異変に気付いたようで白沢が魔法を放ってきた。僕は先程とは違い、正面からその魔法を握りつぶす。
なんだ、こんなものか。
「まさかウィークネスをかけっぱなしにしてたわけ?」
それを見て、呆れたように白沢が言ってくる。
「ち、違う。これはアレだ。計算の内だ」
僕は苦しい言い訳をした。わかってるさ。僕は馬鹿だった。
「は?何言ってんの成r……もごもご」
「成瀬」とはっきり言いそうになったので、慌てて白沢の口を塞いだ。観客席に耳のいい奴がいたら聞かれてしまう。白沢は顔を赤くして僕の手を振り払った。
「何すんの、な……」
僕は倒れこんでくる白沢を支えた。僕が手刀を首に落としたのだ。あのままでは「成瀬」と言われかねない。
『勝者、スイゲツ選手』
あんな間抜け、二度とやるものか。
僕はそう決意した。
ー
僕の試合でこの日の試合は終了だ。明日からは準々決勝が始まる。
試合を終えた僕は白沢がいる救護室にいた。
白沢はベットに寝かされていて、まだ起きていない。
決して僕が手刀の加減を間違えたのではなく、白沢が魔力を相当使っていたからだが、一吾と森山には「お前がやったんだから残れ、そして肉じゃがも作れ」と言われている。
「ん……」
「あ、起きた?」
気絶してから三十分くらいで白沢は目を覚ました。
「ここは?」
「救護室だよ。あ、痛いところとか無い?」
救護係の人たちが回復魔法をかけていたから大丈夫だろうけど
「あたしは大丈夫。成瀬、待ってたの?」
「まあね」
「ありがとう」
「と、トウゼンだよね!」
僕たちは外に出た。
「成瀬、ウィークネス解除し忘れてたの?」
「うっ、そうだよ」
心の傷を的確にえぐらないでほしい。
「真面目にやって欲しかったんだけど」
白沢は怒りのオーラを出している。
「ごめん」
「あと最初の狐の手、あれ何?」
「いや、アレはなんとなくと言いますか、その……すみませんでした」
「……」
帰るまで白沢は不機嫌でした。そのまま肉じゃがを作らされたのは言うまでも無い。




