表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
40/96

稽古と侵入と報告


次の日、孤児院で過ごしていた僕達の元へ驚きの知らせが届いた。なんとコナーが部屋で殺されていたというのだ。それを聞いた時、一吾達は疑いの目で僕を見てきたが、僕は何もやっていない。そんなに怪しいのか?


「誰がやったのかね」

「さあな、魔族絡みじゃねえか?」

「確かに」


それが一番濃厚なように思える。やはりコナーは魔族に協力をしていたということか。ということはダンジョンの最奥に行く日を魔族に流したのはコナーなのか? しかし貴族とは言ってもコナーの家格はそんなに高くない。政治の中央に食い込んでいないので、知っていたとは思えないのだ。


「どこで絡んでいたのか」


魔族と勇者の中にいる内通者の橋渡しか?それなら現実的だ。殺したのも説明がつく。勇者が外に出ている今、橋渡しなんて必要ないのだろう。なら考えても仕方がない。次のことを考えなくては。


「水月、やっぱり闘技大会が怪しいんだよな?」

「うん、勇者が集まるのはそこだからね」


勇者の他にも腕に覚えのあるものが集まるので、そこを襲撃するのはリスクが高いが、成功すれば人類の戦力を一気に減らすことができる。魔族側も相当な強者を送り込んで来るだろう。魔王本人が来るというもあり得る。ゲームと違い、最終決戦は魔王城で行うとは限らないのだ。


「しっかし、どうやって来るんだ?魔族は」


そもそもファーナシスは対魔族の最前線じゃない。

最前線はもっと北のほうだ。北にも勇者がいるらしく、持ち堪えている。


「さあ、瞬間移動の固有魔法でもあるのかな?」


翼で飛んでくるという手段もあるが、大体どの国も障壁やら結界やらを張っていて、ただの魔族では通れない。魔将クラスなら通れるけど。


「あー!もうやめだ!わかんねぇことが多すぎる!」

「うん、後手に回るのは癪だけどそうするしかなさそうだね」


出来るとすれば、闘技大会での警備を強化する、などしかない。



「ごちそうさまでした。」

「ほい」

「洗い物手伝おうか?」

「いいわよ、遊んできなさい」

「最近僕の扱いが子供と同等じゃない?」

「男なんてそんなもんよ」

「森山、それは雑だ」


白沢も僕を子供と同等に見ている気がする。この前飴をくれた。


「師匠!稽古つけてくれよ!」

「トーマ、師匠はやめてくれる?」


偽物達を追い払ってから、トーマは僕のことを師匠と呼ぶようになった。やめて欲しい。


「え?師匠は師匠だろ?」


だが一向に止める気配がない、どうしたものか


「ほら、成瀬、行ってきなよ」

「はいはい」


僕は森山に背中を押され、庭に出た。



「ほら、隙だらけだよっ」

「くっそー!まだまだ!」


僕は片手で木の枝を持ち、トーマの木剣をいなす。

大きすぎる隙には、その都度攻撃しながら指摘する。


「おらああ!」

「甘すぎ」


大上段から振り下ろされた木剣を、簡単にいなし、頭にポカリと一撃を入れた。


「いってぇえええええ!」


見れば、たんこぶができている。


「まだまだ」


まあ十歳だからこんなものだろうとは思う。


「くそっ!見てろよ!ミズキより強くなってやる!」

「そうなることを楽しみにしてるよ」


そしたら立派な化け物の完成だ。僕が何もしなくても魔王は討伐されるに違いない。


「バカにしてるな!?」

「いやぁ?まったく」

「くぅー!アスカー!ミズキが虐めてくる!」

「汚いぞ、トーマ!」


それは反則だ。弟子よ。弱点をつけとは教えたけど、そこまで徹底しなくてよろしい。


「成瀬……何やってんの?」


案の定白沢は、気だるそうにやってきた。よしよし、とトーマをあやしている。


「いや、稽古してただけだから、そんな呆れた感じで見ないで……」


子供達に囲まれて、相変わらず人気のようだ。ちょっと疲れている。


「……」


白沢は何も言わずに立ち去った。

沈黙が一番辛い。何か言ってくれよぉ。


ーー→


深夜、黒いローブを纏い、闇に紛れた男が屋根を走っていた。その足は王城へと向かっている。男は門の前に着くと、それを軽々と跳び越えた。門番が気づかないのは、男の気配隠蔽能力が群を抜いているからだ。

男は中に入り、迷わず進む。やがて一つの部屋の前に辿り着くと、何やら魔法を発動し、部屋の前に立っている兵士を気にもせず中に入っていく。男のニヤリとした笑いが、暗闇に残った。



←ーー


「と言うわけで、闘技大会の警備を強化して欲しいのです」


僕は国王に説明をしていた。

知り合いの子孫とはいえ、王様なのだ。言葉遣いには気をつけねばね。


「いきなり儂を起こしておいてそれか?」

「……」


そうですよね〜言葉遣いどころじゃない失礼やっちゃってますよね、僕。


「まあわかった。よく知らせてくれた」


寛容な王様は大好きです。


「はい、一大事ですので」

「うむ、助かったぞ。あの貴族のところには何も証拠が残っていなかったからな。なぜ殺されたのかわからなかったのだ。まさか魔族がからんでおるとは」

「ですので、この件は内密で願います。信用できる者だけに伝え、必要以上広めないように。魔族に警戒されると厄介です。」

「承知した。ゴードンとロッタスには話しておこう」

「ありがとうございます」


これで闘技大会の警備の強化がなされるだろう。


「しかしナルセよ、よくこの部屋まで入ってきたな」


そう言う国王の目は、鋭く光っていた。そりゃそうだ。僕が暗殺しようと思えば、いつでも出来るのだから。


「ええ、まあ」


曖昧な答えを、国王の目をまっすぐに見て言う。


「ふっふっふ、面白いやつだ」


なぜか気に入られた?


「ご苦労であった。しかし今度からは深夜はやめてくれ」

「はい」


割と本気のトーンで言っていたので、今度からは絶対にしないことにしよう。


「しかし、王族に伝わる初代国王、シュルツ様の言葉に、『深夜の侵入者は勇者と思え』とあるが本当であったか」


なんで言い伝えてんだよシュルツ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ