スられました。
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小竜を倒した数日後、僕は立ち並ぶ店を見ながら歩いていた。
「いらっしゃい!やすいよー!」
「とれたての野菜!どうだね?」
「ちょっとそこのお兄さん!見てきなよ!」
今日もこの通りは商売人達の声で賑わっている。数多くの露店が集まるこの通りは、王都でも有名だ。ここに来れば欲しい物が大体見つかる、そう言われている。
「カード・マネー金貨10枚」
僕はステータスカードを呼び出してお金を取り出した。いつもカードに収納しているが、払う時は現金で払う。そして、取り出したお金は袋に入って出てくるけど、その仕組みは千年前からの謎である。
「おもっ」
金貨が10枚入った袋は予想以上に重かった。まあ今日はこれくらいあれば充分だろう。カードのお金は家を買ってだいぶ減ったが、まだまだ余っている。せっせと依頼を受けているおかげで少しずつ貯まり始めてもいる。
「さて、美味しいものを食べに行こうか」
今日の目的は食べ歩きだ。ちなみに同居人達はみんなで依頼を受けに行っている。商隊護衛の依頼らしい。普通、商隊というのは専属の護衛を雇っているものだが、稀にこういう物もある。漏れ無く報酬がいいので人気の依頼なのだ。まあリスクもあるんだけど。
「串焼きー!美味しい串焼きだよ!」
一つの露店から香ばしい、いい匂いが漂ってくる。
「すみません、なんの串焼きですか?」
「いらっしゃい!小竜の串焼きだよ!」
最近倒したな〜。ま、竜の肉は美味しいので食べよう。
「一つください」
「あいよ!」
大きめの串焼きをもらった。早速食べてみる。
「美味しい」
「はっはっは!よく食うね兄ちゃん!」
「もう一つください」
「本当によく食うな!わはははっ」
二つ目を注文し、かぶりついた。肉汁が溢れ出て、口に広がる。牛や豚、鶏とはまた違った美味さだ。
僕はしばらく余韻を楽しんでいた。
「おい!待てっ泥棒!」
大声が響き、僕は肉から意識を戻した。
店の商品を盗んだ奴を店主が追っている。どうやら追われているのは子供二人のようだ。
「あ、すみません、もう一つください」
「ワッハッハ!」
僕はその騒動を気にせず串焼きをもう一つ頼む。
こんなこと、別にこの世界では珍しいことではない。
孤児が盗賊になるのはよくある話だ。
「やっぱり美味しい」
「お、おい!兄ちゃん!こっち向かってきたぞあいつら!」
「へ?」
子供二人がこちらへ逃げてくる。それを追いかけて、店主も物凄い形相で走ってきた。
「そいつらを止めてくれぇ!泥棒だぁッ!」
僕は食べ終わった串を持ちながら子供の前に立ちはだかる。
「もぐもぐ……ゴクンッ、待ちなさい」
「いやだよーだ!」
「あっ」
子供…ガキ共は僕にぶつかりながら逃走を続けた。
「待てーッ!」
店主が追いかけていった。僕は正直、串焼きの方が大事なので追わない。
「もう一本お願いします」
そう言って僕はお金を渡……
「あれ?無い」
「どうした、兄ちゃん?」
「いえ、お金が」
「さっきぶつかった時に掏られたんじゃねぇか?」
「あー!」
訂正だ。僕の物に手を出してタダで居られると思うなよ?ガキ共め……全力で追ってやる!僕は走り出した。
ー
すぐに店主に追いつく。ガk…子供達は貧民街に差し掛かった。
「手伝います」
「ああ、挟み討ちだ!」
しかし子供達は慣れているのか、細い路地を利用して逃げ回る。土地勘のない僕は着いていききれない。
とうとう僕達は撒かれてしまった。
ーー→
「はぁっはぁっ、もう追ってこねぇよな⁉︎」
逃げていた子供の一人が言う。
「う、うん」
もう一人がこれに答える。
「これであいつらも飯が食えるな!」
二人はとある建物の前に着いた。扉を叩くと、中から声がした。
「はーいッ」
扉が開き、修道服を着た女性が出てきた。
「あら、二人共」
女性はいつもより元気が無かった。
「どうしたんだよ?俺たちご飯持って来たぜ!」
「二人共、ちょっと話があるから……」
二人は女性に案内されて、小部屋に入った。
「やあ、また会ったね」
「なんでお前がここに⁉︎」
そこには先程二人を追いかけていた男がいた。
←ーー
勝った……!
僕はガk…子供の驚いた顔を見てそう思った。
撒かれた後、大人気ないかもしれないが、本気で気配感知をして探したのだ。その後、この小さな孤児院に来るであろうと予測し、先に中に入って院長に話をしていた。
さて、ここからが本番だ。




