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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
新章ー大陸を歩くー『精霊の住み処』
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竜人と魔女

「あー、忘れてたぁ、はい、これ。」


「?なんでしょうか.....」


【小さな庭園】を離脱しようとする私に、声を掛けてきたナチュリオレさんは、私の手のひらに一つのコインを落としました。私はなにが何だか分かりませんが.....綺麗な象牙色の硬貨でした。


「ほら、契約の対価とー、護衛も兼ねてねー。」


契約の対価.....そういえば、ナチュリオレさんからは貰っていませんでしたね。

でも、このコインが対価?

お金にするのかな.....売れば良いんでしょうか?


「ナチュリオ.....あの目は分かってません、下手したら売られますよ?」


「えぇぇー、それは売りもんじゃないぞー!売るならこっちだぞー。」


金塊!金塊が出てきましたよ!!金てめっちゃ重くて、高価で!!

あれ、片手で持ってるような?

あ、わかりました。


「偽物ですね....純金じゃないと見ました。」


どうせ、片手で持てるのですから、金箔が貼ってあるふ菓子のようなものなのでしょ?

ほら、貸してください、騙されませんよ?


「はい。」


気軽に渡された金塊が......

私の手を弾き、地面にめり込んでいました。


「......痛い。」


涙目の私、なんて不幸。

んー、と不思議な顔をみせるナチュリオレさんは再び、金塊を片手で広った。


「アン、ちゃんと受け取らないと駄目だぞー。」


すいません、もう、ホントに勘弁してください。

あ、ちょっと私の手を金塊の下に固定しないで!!

というか、わざとやってます?疑ったこと怒ってるんですか?


「.....痛い、今手が曲がっちゃいけない方に曲がらなかった?うそ?」


のほほんとしたナチュリオレさんの顔を見る限りそんなことはないようですね。

つまり素......


「ああ、また落としてぇー」


「......」


そんなやり取りを可哀想な者を見る目で見ている着物美人がいましたが、傍観を決め込むようです。

ちくしょー。


「.....不憫ですね。」


どういう意味ですか!?ナチュリオレさんの腕力を知らなかったこと?てかこれ腕力なんですか!?

絶対うそです。金塊持ったとき一瞬手が光りましたもん!!

それとも、本当の金塊を知らないとでも思ってるんですか!

知ってますよ、見たことあります......テレビで。


そのあと、4回ほど金塊を落とされ、手の感触がなくなりました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


「話は戻りますが、これは何なのですか?」


私が象牙色の硬貨をプルプルしながら掲げると、ナチュリオレさんが、優しい表情をーーー


「アン、トイレは我慢するべきじゃないぞー」


「殴りたい!この精霊様!!」


「ダメですよ!アン、あれは素です!」


余計悪くないですか?それ!!




そして説明を受けた私は早速呼び出してみることに。

お決まりの決め台詞を硬貨を中心に展開する魔方陣の上に手を翳しながら。


「召喚!!」


声に反応して、私の中から失われる感覚と、新たに何かの線が繋がる感じ。


光が収まったとき目の前にはーーー

魔方陣にしゃがみこむ、カラフルな髪に大きな杖を持つ、聖職者のような格好の.....


「......なにもないじゃないですか。」


目の前にいるナチュリオレさんに溢します。

落胆した表情を二人の精霊に向けますが、ナチュリオレさんとミストレニア様は熱心に魔方陣の文字を追っていました。


「あいかわらず、複雑な契約式ですね。」

「んー、慣れるとそうでもないぞー。」


あ、あったー。


声をあげたナチュリオレさんを不思議そうに見つめます。

あった?なにがあったのでしょう?


コインを拾い私の手に再び乗せました。


「名前をつけるんだぞー。あと、一応言っておくけどー......」


ん?名前?でも居ないじゃないですか私の【護衛獣】さん。

あ、あっちにいるんですか....そうですよね。そういえば最初にそういってましたね。


「売るなよー。」


「売りませんよ!!」


あっちに戻ったらどんな子なのかスッゴい気になりますよ!


そう、ナチュリオレさんの対価は、最初は自然魔法の適正だったのですが......

ミストレニア様に私の適正力を暴露されて、あえなく違うことに。

それが......あっち側で一緒にいてくれるパートナーの【召喚獣】を貰えることになりました。

召喚されてくる場所は、ナチュリオレさんの領域とも言える大きな森林だそうです。

その中では、券族の生物が数多に暮らしている豊かな森林なんだとか。

実力もピンキリらしく、なにが呼び出されるかは分からないらしく、ワクワクが止まりません!


早く、戻って顔を見に行きましょう!!


「いざ、行こう!私だけの召喚獣を見にーーーー」

「あ、間に合った。ついでに頼まれ事もしてきてくれない?」


再び、出鼻を挫かれた私は挫いた原因である人物を睨みます。


「なんですか!私は今から『よしよし、よおおし、よし。』をしに行こうしていたのに、シュレイさんは!全く。」


で、なんですか?用件は、見事遂行してきますよ!

え?○ゴロウサンしなくていいのかって?

シュレイさんが先ですよ!当然です。

ギルド?掲示板?


????......わかりました。行ってきます。


「じゃ!お任せを!シュレイさんは根を詰めすぎないでくださいよ。」


「なんか不安だけど、任せるわねミストレニア。」


私じゃないの!?


ーーーーーーーーーーーーーーーーー。


時間は夕刻。

酒盛り時。

依頼を終えて反省会をするパーティーや、一発あげて祝うパーティーなど様々な人がいる中、ドアの開く音。

マニフェレンの冒険者ギルドの門を潜る100cmくらいの少女が現れた。

黄色い髪は地面に引きずられ、でも、痛みも汚れも、枝毛すらない。

そんな場違いな少女にギルドのいる全員の視線が刺さるが、少女は辺りを見回した後、受け付けに歩いていった。


「おいおい、嬢ちゃん、もうお寝むの時間じゃねーの?」

「はははっ、あれだよ、親に買い出し頼まれたんだよ。」

「でも、一人でこんな時間に....さらってくださいと言っているようなものよ?」

「そうだな....心配だな。」


ヒソヒソと話す彼らの声が再び止まる。


少女が振り返り、困ったような顔を入り口に向けていた。

少女の視線の先にはドアを一生懸命押し上げる真っ白い毛玉がいた。


「もう、待っていてくださいって言ったじゃないですか.....みんなの食事中に毛が入ったらどうするんですか?」


扉を押し開けた毛玉は良く見ると四足歩行の生物のようだ。

手足はスゴい短そうだが.....


『Pi-pii!!』


少女を見つけた毛玉は一目散に少女の元へ。

この場にいる全員が少女の胸に飛び込んでいく毛玉に一滴の感動を.....


「まったく、『メリーさん』は、もう。」

『Pi-piipi!』


少女が開いた腕の中にーーータックルをかました。


「ぐはっ!」

『PiPiPiiiii!!』


お腹に直撃したらしく、両手でお腹を押さえる少女。

その少女の上で跳び跳ねる『メリーさん』と呼ばれるクリリとした目を持つ羊のような生き物。


『......』

『.....おい、なんの話だっけ?ああ、スキル、スキルはセットしないとーーー』


このマニフェレンで、見たこともない少女と、見たこともない生物がいるが、実力がある冒険者は賢い生き物。この場にいるほとんどが、少女達からやっかい事の匂いを感じ、後ろ髪を引かれるが見なかったことにしていた。



少女は頭に『メリーさん』を乗せつつ、フラフラしながら受付嬢の元まで行った。


「依頼って発注できるんですよね?」


そういう少女の言葉に耳を済ませていたほぼ全員がやっぱりなと思った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


うう、マニフェレンの街を探索したいのに、出会う憲兵全員に捕まり、職質されるなんて.....私そんな悪じゃないのに.....まっ、職質の内容が『こら、子供が一人で出歩いていると危ないでしょ!家に帰りなさい。なんなら、送っていくから。』ばかりだったのですが....


「大丈夫ですか?その。」


お腹を擦る私に心配そうに話しかける受付嬢さん。


「大丈夫です!さっきのを含めて5回喰らってますから、そろそろ痛い感覚が無くなってきました。」


そういう私に顔をひきつらせるお姉さん。

でも、仕事はしっかりしてくれた。


「では、確認しますが、そ、想天花のシュレイ様の名で、ふ、フルエンクへ攻め込んだ重傷者の回収は完了しており、そ、それから、随時回復次第、各町に下ろしていく....という連絡を掲示板に、と言うことで。」


震え声と口許をひきつらせる受付嬢さんに悪いと思いながら、証拠を提示する。

依頼をするとき偽造がないよう本人の確認できるモノを示さなければならないが、今回私は代行と名乗ったので、書状と証拠の二つが必要となる。

書状は最初に渡し、今はギルド長が確認しているのだとか.....

そして、証拠の.......


「「「「「「天墜槍(アーヴァンベルク)!!!!」」」」」」


「しゅ、シュレイさんって何者なんだろう.....」


全員の驚きの声が、槍を出したとき重なっていた。

1000年も昔の事なのに、槍を人目で見抜く彼らと、シュレイさんに私は驚いていた。

因みに、この金色で宝石が沢山嵌め込まれている槍を渡さす時、シュレイさんが、これでいっか。と、

シュレイさんの宝物庫の入り口にころばっていたものだったりする。

そんな適当なモノでいけるとは、まさかの展開でした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


依頼を掲示板に張り付けてもらい、時間も掛かったのでここで食事することにした。

まぁ、食べられるのは、水と干し肉?くらいでしたけど.....

けして、金がないわけではないが、正直メニューの名前が.....あれで、食欲も失せてくる。


「お、ねーさん。こっちに『ルナリアの冷酒』と『ナチュリオレの盛り合わせ』。」

「えっと、『アサギリ添え』ってあります?」

「今切らしておりまして、『エンドウ添え』なら出せますがーーー。」


なんてね?なんて聞くとね.....食えませんよ.....


『気にせず、食べたらどうです?最近やっと固形物が食べれるようになったのでしょう?』


「いや、そうですけど.....知り合ってしまうと、なんか、嫌ですね。」


私はうっすらと私の周りを漂う霧にそう返した。

現在の私はシュレイさんとのリンクが切れ、頭の花を失った状態だ。

本来は種族的に捕れるハズはないが、シュレイさんが自らの力を全力で使うため、私の中にあるシュレイさんよりの力も殆ど持っていかれ、見た目人間そっくりになってしまったのだ。

つまり、半身しかない状態とも言えるが、シュレイさんの代わりにミストレニア様が現在のリンクを繋いでいる。つまり、半精霊の精霊の部分をミストレニア様になっているというわけだ。

担当と言うのはそういうわけかと、納得しました。


そして、これらないけるかもといって頼んだ干し肉は、メリーさんが一生懸命食べていた。

(それ、ラム肉って言ってたけど、こっちのラムって違うラムですよね.....)


私の言葉をある程度理解するメリーさんには黙っておこうと思った。


「Pipi!!」


「喜んでいるならそれでいいです......」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


メリーさんが食べ終わり、これからどうしようか、ミストレニア様と喋りつつ悩んでいると、私が座る丸テーブルの椅子が引かれる音がしました。


ゴトリーーーー。


と置かれたのは大きな槍。

反対側には、宝石が嵌め込まれた150cmくらいの杖。


「う?」

『おや?』

「PIPi?」


顔をあげる私たちに、ニッコリと微笑む少女とムスっとした長身の男性がいた。


「ちょっと話があるのよ?いいわよね。」

「強引すぎだ、相手は子供だぞ。」


男の台詞に少女は魔女帽をクイっと上げ、男をにらむ。


「リーダーが置いていったからでしょ!?いま、あの人は捕まっているかもしれないのよ!」


あ、もしかして、この二人......


「ふん、だから、書いてあったぞ?回収したと。」


やっぱり見てくれたんですね!


「うそかも、知れないじゃない!だからこうして話を聞くのよ。」


「うそじゃないんですけど......」


「は?お嬢ちゃんね.....ッ!?」


虚偽だという魔女さんについボソッと言ってしまいました。

一瞬私を睨みますが、すぐにビクッとして、驚いた顔のまま杖を即座に構え臨戦態勢をとって....


え?


男の方も、こちらに構えていませんが槍を手に持っていました。


他の席の皆さんは、なんだ?なに立ってんだ?くらいの反応でしたが、この二人はなぜ......

まさか......


(み、ミストレニア様、何かしました?)

『.............いいえ?なにも。』


うそ!!いま間が長かったですもん。


「ど、どうぞ?話はききますよ?」


私はビクビクしながら、未だに杖を突きつける魔女帽の少女と隣に立つ男性に座るように促してみます。



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