始めての受け付け
「あら?かわいいお嬢さんね、どうしたの?ここはコンクレント冒険者ギルドの第二支部よ。」
「ううぇ?あ、わたしですぅ?いえ、違います!じゃあ!!」
「そ、そうなの......」
支離滅裂じゃないですか私!!
私は、受付カウンターに座る女性に声を掛けられました。
向こうから声をかけられるとは思っていなくて声をかけてきた女性にブリキのように首を動かし視線をあわせます。
どうやら、スキルがないと極度の人見知りが発動するようですね、ふぅ、もう帰ろう......私は頑張った。
受付嬢の女性はポカンとした顔をしていますが、この際逃げるが勝ちでしょう。私自身も顔が真っ赤になっているような気がしてきました。
「わっ!」
そうして受付嬢から反転し歩こうとしたら、すぐ後ろに立っていたコーラルさんという名の天使にぶつかりそうになりました。
てか、そんな至近距離になんでいるのですか!?
この金髪の眉目秀麗な天使さんは私をここまで案内してくれた心優しい方です。はじめは女の人かと思いましたが、リーダで確認したところ男になっていて驚きですよ。
そんなこともありコーラルさんに連れてこられたのは、小人族の町に唯一存在する冒険者ギルドです。
理由は、私が魔物に属しているから、討伐されないように登録しに来たというわけですね。
コーラルさんに、私の種族が【新種】と言ったら驚いていました。色々質問攻めしてきて迫ってくる天使は怖かった。
しかし、まさかコンクレントの冒険者ギルドが丁度転移先にあるとは思ってもみませんでしたが都合がいいです。
あぁ、第二支部らしいですけど。
「もう終わったのですか?すごく早いですね。」
うっわ、後ろにいたくせに白々しいですよ......く、笑顔の圧力がヤバイ、何これ重力?そうなんでしょ?
「いえ、もういいかなと......」
ついぼそっと言ってしまいましたが、初対面の天使さんがまさか私の行動にとやかく言う訳はないですよね?
親切ですけどお節介はノーサンキューですよ。
すると、コーラルさんは長い髪を手で後ろに払いながらしゃがみ、私の耳元で囁きます。
私は美しい......いや、ふつくしい!天使さんに迫られてドキドキしてしまいましたが、言われた言葉にゾクリとし受付嬢の女性の所にダッシュで向かいました。
「頭に赤黒い角をつけてるお姉さん!!私登録します!だから助けて!!」
受け付けカウンターは今の身長より少し高いくらいですが、なんの、地面に引きずる黄色の髪を触手の様にして身体を少し浮かせてバンバンとカウンターを叩きました。急いで!奴が来る......てかいるし。
褐色の肌に真っ赤な髪さらに頭に独特のぐるぐるした角をもつ.......どうみても悪魔の受付嬢の女性はクスクス笑いながら書類を渡してくれました。
「それじゃ、魔族・魔物・精霊種専用の証明書の書類に記入をお願いね?あと、嘘はダメよ、事実を書かないと何かあったときに困るでしょ?そう......なにかあったときに......」
2回言ったよ!この人。
お姉さんさっきの会話聞いてたんですか......グルで私を?
目線で訴えるとお姉さんは笑みを深め悪巧みしています、という顔になり私は戦慄しました。
フルフル震えながら字を書こうとしますが、あれ?字って何を書くんだろうか?つい日本語で名前を書いてしまいましたけど、あれ、でもこれ嘘じゃないし......ああ、もうわかんない!?とりあえず聞きました。
「文字?でも、読めるんでしょ?」
「あれ?そういえば読めますね......」
「よしよし、お嬢ちゃんは私の種族を知っていてなお、からかおうとしてるのかしらね?」
「こっわ!あ、声にだしちゃった。」
「......お嬢ちゃんはバカなのね。」
「残念そうな目で見ないでください。泣きますよ!!」
そんなこんなで、結局文字は私からは日本語で書いたつもりが紙にはちゃんとユーレリーゼの字に変換されています。
意識して書くと日本語での表示も出来るらしいけど、普通に書けるなら問題ないと思いました。異世界ってすごい......
すごいの?これってシュレイさんの知識じゃないかな.....
ありがたい。
「うん、大丈夫みたいね。じゃぁ、カードに取り込むけど......カードあるの?」
「あ、あります。」
目を通してうんと頷く悪魔さんを見てほっと胸を撫で下ろす。
悪魔さんは、書類を私の前に置きカードを出すように言ったのでポケットから神様作の無色透明なカードを取り出してカウンターに置きました。
悪魔さんは最初何気なく手に取ったが、持った瞬間目を見開き驚いた顔をしていた。
あれ、もしかして、こういう展開って......
何が起きるか期待していた私。
悪魔さんは私を見て言った。
「これ、結構旧式ね!むしろ珍しいわ......オーパーツ?」
「.......うん、そうですよね。時代は進んでますもんね。」
おれTHUEeee展開は来ないようですね。
それに何となく感じてましたよ、ミストレニア様のは薄型の綺麗なデザインだったし、城の精霊さん達は腕輪型だったし......
カードを置き、その上に証明書を乗せ、悪魔さんは両手を囲うように翳した。
「じゃぁ、やるわよ。」
そういった悪魔さんは雰囲気ががらりと変わり、魔法を行使するようだった。
悪魔さんの手に黒い魔方陣が構築され手と手を魔方陣がスキャナーのように行ったり来たりしていた。
すると、今度はカードを中心に上下左右三層の多重魔方陣が現れ、黒から白へと段々と変わっていく。
なんかダウンロード画面みたいな点滅だった。
総合的な時間は一分くらいだが、私は神秘的な光景に心を奪われてしまいました。
「......アンコールは受け付けますか?」
「ごめんね......何回もやってもいいけど、『バカ』には一回目しか見えないの。」
「な!?......ごめんなさい。」
「いいーえ。」
勢いよく悪魔さんを見上げ何か言おうと思いましたが、悪魔さんの心底冷える視線にたじたじな私はおとなしく説明を受けることにした。
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「終わりましたか?」
私をここに連れてきてくれた天使のコーラルさんは冒険者ギルド内のテーブルで大きな本を手元に開いていました。
綺麗な装飾の本ですね。
どことなく感じられる雰囲気はコンレルさんが持っていた本に似ているような......
「終わりました!ありがとうございます。ここまで連れてきてくれて助かりました。」
「いえ、愛くるしい小さな精霊さんの横を素通り出来なかっただけですので、言わば私の自己満足ですよ、気にしないでください。」
頭を下げてお礼をいう私に微笑むコーラルさん......まじ天使。
さて、オリジンさんと約束していた証明書は貰えたので次は私の目的を果たしましょう。
実はオリジンさんや他のメイドさんの目がない今が好機なのです。
「じゃぁ、コーラルさん私はこのまま冒険者登録をしてきますんで、またお会いしましょうね。」
「ん!?ちょっと、待ちなさい。」
そういって再びカウンターに向かおうとした私をコーラルさんが慌てて捕まえてきました。
なんでしょうか?
振り向く私にコーラルさんはなぜか焦っていました。
「冒険者になってどうするんですか?とても危険なお仕事ですよ?」
「はぁ、それは知っていますけど......」
そういって、私の上から下までを観察するように見てくるコーラルさん。
別に不快感はありませんが、綺麗な顔で真剣な目を向けられると恥ずかしい限りですね。
でも、コーラルさんの視線は何処に......もしかして......
「私のプロフィール見えてたりしますか?」
そう切り出す私にコーラルさんは苦笑いをしていた。
「見える.....筈なんですけど、何かに妨害されて見えません。何かあなたに呪いでも掛かってるじゃないかと心配で......」
「......」
あれ、それってシュレイさんのことじゃない?シュレイさん呪いだって!く笑っちゃだめよ......くっ。
「いえ、たぶんですけど私のスキルですよ。心配性で過保護な私の大事な......スキルです。」
私がそういうとコーラルさんも引き下がってくれた。
「そうですか......では、試験が終わるまで待っていてあげましょう、それから私が懇意にしているところにいきましょうか?泊まるところも決まってないのでしょう?」
「!本当ですか!?」
コーラルさんありがとう!!下手したら、地中でもいいかと考えていましたがお言葉に甘えさせて貰いましょう。
頑張っちゃいますよ!私。
そして再び、悪魔さんの所に行きました。
悪魔さんは虚な、やる気のない目を私に向けてきました。
「ねぇ、お嬢ちゃんにはあまり薦めないんだけど.......だって、お嬢ちゃん、魔物なのに魔核4桁でしょ?」
「う、そういわれると辛い。でも、スキルで補いますよ......(いつか、きっと)。」
「まぁ、個人の自由だからいいけど、お嬢ちゃんがつけるランクはHね。」
「Hってどのくらいの実力なんですか?」
「うーん、そうね......お嬢ちゃんくらい、ね?」
「私しかいないんかい!!」
つい突っ込んでしまいました。
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色々説明を受けて、次に試験を受けることになった、これは実力試験で、このギルドにいる上級ランクの人と手合わせをして実力を見て貰うらしい。ただ、ここで勝っても登録ランクの変更はない。なぜなら昔、八百長が横行し、実力もないのにクエストに行き命を落とす奴等が居たためらしい。本来は初級のランカーが勝てるわけはないのだとか。まぁそうか。
「お嬢ちゃん......準備はいい?」
そして......なぜか私と向かい合うように立つ悪魔さん。
「なんでさ.....」




