「別にここに来るまで一人だからって......」
「うぅ~ん、それにしてもここは.......」
アメジストさんが出ていた扉を開けると、目の前に広がるのはどこぞの城の中を思わせる内装でした。
引かれた赤いカーペットに、壁に等間隔である燭台。
なぜでしょう、神聖な空気というか.....重苦しい静けさといいいますか......
何はともあれ、とりあえずは進むしかないでしょうね。
右通路も左通路も、何もかもが左右対称になっているため、どっちにいけばいいのか分かりません.......
「あ、あのぅ......誰かいたりしません?」
私の声だけが虚しく響きましたよ!コノヤロウ。
もう、いいです!
ここは、勘でいきましょう。
結局、ここが何処かも分からないし、行った先だって合っているのかどうかさえ不明です!
アメジストさんがいることから、ある程度は予想も立てられますけど、でもその予想が的中した場合、離れてから一日くらいしか、経っていないことになりかねません。
結構時間が掛かるといっていたので、まだだとは思いますけど.....
「まさか、お説教で呼ばれてたり?」
いや、ないない。
ない......ですよね?
あれ、不安になってきました。
じっとしていても状況は変わりません、ここは行動あるのみです!!
.......
とりあえずは右に行きましょうか?
今の私の服装は、今まで同じ黒いワンピースに、蛍光色の髪を留める花の髪留め。
うん、いつも通りの私ですね。
足は裸足でした。
だって履き物が置いてなかったのです。
アメジストさんに頼めば良かったのでしょうけど、アメジストさん怒ってたし......
ええ、そうです、私は度胸なしですよ!
ふふっ
っと、暗い笑みを浮かべてたら、突き当たりまで来ました。
さてさて、この曲がり角の向こう側は、っと......
ーこの先、使用人専用領域のため関係者以外立入禁止ー
「看板?いや、標識?」
曲がり角の先にあったのは、奥まで見えない通路の入り口に立つ看板でした。
どうやらこの先は、使用人専用区画らしく、私は入ることが出来ません。
まぁ、私は使用人ではありませんし、主人でもないので関係者ではないでしょう。
まぁ、シュレイさんの一部の部下からは『王女』とか呼ばれてますけど、私は王族に成ったつもりもありませんし、王の子孫でもないハズです。あれ絶対悪乗りですよ。
「引き返して反対側にでも行ってみましょうか」
ため息をつきつつ、踵をかえしました。
反対側が正解だったようで、そのまま道なりに進むと、一段くらい天井や通路が、でかくなる場所までやって来ました。
ふむ、考えるにこれが城だとした場合、中心に近づいているのではないでしょうか?
私が二人寝転がっても、はみ出ない広さのカーペットを進んでいきます。
「てか、アメジストさん以外にまだ会ってないんですけど.......」
誰にも会わないことで不安になってきた私は、少し歩くペースを上げました。
まっすぐ歩きながら3分くらい経った頃、ついに、私の目の前にでかすぎる扉が現れました。
いままであるって来た道を振り返ると、そこにはもう、私が歩いてきた道の半分が光に呑まれて見えなくなっていました。
結構歩いたようです。
「まさかですけど、ここが玉座でしょうか?」
いや、そうとしか考えられませんね。
ドキドキする気持ちを押さえ、扉に手をかけました。
「だいたい、ここ領域側ですよね?私は来ようとしてないのに.....」
ぶつぶつ言いつつ、扉を押します。
しかし.......
うんともすんとも言わないんですけど!?
くっそう。
「むぎぎぎぎ」
むきになり、力一杯引っ張ったり、押したりしましたが、動く気配はありませんでした。
5分くらい格闘して私は気づきました。
これ、飾りなんじゃないかな?
って、というわけで、疲れましたし、一回戻って休んでからまた探索しようと思います。
「そうだ、もうあっちサイドに帰って熟睡するのも乙ですね!」
そうですよ、訳が分からず呼び出されて、案内も無い不便さ。
まったくだれですか!
ってことで私は寝ますよ!
では!
扉に向かってシュタッと手を降りその場を後にしようとしたとき。
――おっそい!!私が呼びにいってあげるわ!あのバカ子!!――
突風を起こすほどの勢いで開けられた、巨大な扉の向こう側に、私を少し成長させた見た目のシュレイさんが扉を押し退けたポーズで現れました。
風圧に煽われ、顔に手を翳したままの私は、いま一日ぶりにシュレイさんと再会したのでした。
いまこの時、私に込み上げる気持ち.....
「シュレイさん!扉固すぎです!あと用件はなんですか!?」
「なんでキレてるの!?」
同じ見た目なのに私が5分も手こずった扉をあんな勢いで開けたから、嫉妬しているわけじゃないですよ?ちょっとむかっと来ただけです。
同じ見た目なのに......
「だいたいここどこなんですか!!」
「わ、わたしの領域よ?空飛ぶ島の内部.....」
そして再会したばかりのシュレイさんは驚いていました。
『あれ、こう、感動的な再会って....』と何か呟いていましたが、気にしないことにしましょう。
それに私は、会えて嬉しくないわけではありませんからね。
「地図作っといてくださいよ!私に迷えって言ってるんですか!?」
「な、なにかしら異様にテンション高いわね」
苦笑いのシュレイさんに手招きされて、私は扉を潜りました。




