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塔の管理をしてみよう 作者:早秋

第2部 塔のあれこれ(その3)

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(3)(精霊)

 考助は、コウヒとピーチを伴って北東の塔へと来ていた。
 訪ねている場所は、地の宝玉を設置した場所だ。
 ヴァミリニア宝玉を参考にいくつかの手を加えた後で放置したままになっていた地の宝玉の様子を見に来ているのだ。
 それぞれの宝玉に精霊の力を与えて様子を見ていたのだが、一向に変化を見せなかった。
 もう一度同じことをしようとしても、これ以上無理と妖精たちに言われてしまったので、それ以上手を加えることも出来ていなかったのだ。
 あれから何度か見に来ていたのだが、全く変わる様子を見せない宝玉に、正直考助も存在自体を忘れかけていた。
 そんなある日、唐突に考助の前に妖精たちが姿を現して「宝玉が変化した」と言ってきたのだ。
 言われた考助は、最初は何のことか分からなかった。
 と言っても妖精たちが関わっている宝玉など、四属性の塔に設置した物しかない。
 何とかその存在を思い出した考助が、北東の塔へとやって来たというわけだ。

 最初に北東の塔を選んだのは、特に意味がない。
 メンバーのうち手が空いているのがピーチだったのだ。
 ちなみにハクは、ワンリと共にフローリアの子供を見に行っている。
 シュレインは新たに迎え入れたプロスト一族の対応で忙しくしている。
 コレットはコレットで、ここしばらくはエセナと一緒に何やらやっているようである。
 結果として最近はピーチと行動するのが多くなっている。
 そのためピーチの管理をしている北東の塔に来たというわけだった。

 北東の塔に設置しているのは、<地の宝玉>だ。
 宝玉が設置してある部屋に着いた考助は、早速<地の宝玉>を左目の力で鑑定してみた。
「・・・・・・おおう。名前が変わっている」
「本当ですか~?」
 以前は<地の宝玉>だったのが、<地の宝玉(精霊)>となっている。
 精霊の力が宿っているからこそ、そう言う名前になっているのだというのは分かるのだが、そもそもどういう効果(機能?)が追加されたのかが全く分からない。
 以前からあった機能で、周辺に結界を張るというのはあったのだが、その結界自体が強くなっていることは分かる。
 だが、それ以外に何か変わったことがあるのかと問われれば、首を傾げるしかない。
「うーん。・・・・・・さっぱりわからないな」
 名前と結界の強さが変わった意外に何か変わったことは無いかと調べてみるが、特に違いは見当たらなかった。
「そもそもこの宝玉って、結界を張って拠点を作る以外に何か機能ってあったんでしょうか~?」
「いや、僕もそれしか知らないなあ。・・・・・・ん? 拠点を作る?」
 ピーチの言葉であることを思いついたが、流石にそれは考え過ぎだろうと考助は首を振った。
「無い無い。流石にそれは無い、よね。・・・・・・無い、よね・・・・・・?」
 まさか、そんなはずは、と思いつつもどうしてもその可能性が否定しきれない。
「何か思いついたんですか~?」
「思い出したというか、似たような物を前に見たことがあるような・・・・・・」
 考助の言葉に、今度はピーチが首を傾げた。
「似たような物、ですか~?」
「単に、基本の機能が同じだけだからだと思うんだけど・・・・・・。うん、ここで考えてもしょうがないから、ちゃんと聞きに行くか」
「どこにですか~?」
 一人で納得する考助に、ピーチは訪ね先を聞いた。
「北の塔。プロスト一族がいる所だよ」

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

「コウスケ? どうかしたかの?」
 突然ヴァミリニア城を尋ねて来た考助に、シュレインが驚きを見せた。
「ああ、いや。ビアナっているかな?」
「ビアナ? どのビアナだ?」
 ビアナという名前は、ヴァンパイアでは珍しい名前ではない。
 いきなり名前だけ言われてもシュレインにも分からなかった。
 考助もそれはそうだと思い、追加の情報を言った。
「プロスト一族のビアナだよ。神殿で最初に会った」
「ああ! 何かあったのか?」
「いや、宝玉について聞きたいことがあるんだよ」
 シュレインもビアナが考助にプロスト宝玉の元になる物を渡している所は見ていた。
 そのことについて知りたいのだろうと辺りを付けたシュレインは、一つ頷いてから答えた。
「そういう事なら、吾が案内しよう」

 シュレインを加えて、プロスト一族がいる区域へと向かった。
 プロスト一族は神殿で一度は考助の顔を見ているので、その姿を確認すると慌てて頭を下げていた。
 全ての人がそう言う態度なので、考助も修正するのを諦めている。
 そもそも彼らのトップに立っている者からして同じような態度なのだから、考助が言っても止めないだろう。
 現在のプロスト一族のトップが誰かというと、
「こ、これはコウスケ様! 如何なさいましたか?!」
 まさしく考助が会おうとしていたビアナだった。
「なんだ。結局ビアナが族長になったんだ」
 考助が前にシュレインから聞いたときには、まだ決まっていないと言っていたのだ。
 考助の言葉に、ビアナが諦めたような表情になった。
「本来であれば、私ではなくイネス様がなるべきだと思うのですが、そのイネス様が拒否されましたので・・・・・・」
「かかか。何を言っておる。もう我のようなロートルは引っ込むべきだろう。プロスト一族も新しい時代を迎えたのだからな」
 ビアナの言葉を受けて、傍にいたイネスが笑ってそう言って来た。
 イネスも完全に隠居したわけではなく、ビアナの補佐のような立場になっているのであった。

「それで、コウスケ殿は今日はどのような御用ですかな?」
「はっ!? そ、そうでした。何かございましたか?」
 イネスが改めて問いかけてくると、ビアナが慌てて聞き返して来た。
 未だ固いビアナに、考助が態度を改めるように言おうと思ったが、そんなことをしても余計に駄目だろうと考えて思いとどまった。
 それよりも、今回は聞きたいことがあって来たのだ。
「アルキス神殿で渡された宝玉って、どうやって作ってるの?」
 ビアナは一瞬何のことかと首を傾げたが、すぐに思い当たった。
「ああ。あれですか。あれは、クラーラ神から渡された物に、精霊の力とヴァンパイアの力を長年注ぎ込んだものになります」
「ああ、やっぱり」
 精霊の力も混じっていると分かって、考助は逆に納得した。
 ヴァンパイアの力というのは、血の契約に近い物だろうというのは分かっていたのだが、それ以外がよくわかっていなかったのだ。
 いや、正確に言えば精霊が関わっているのは何となく想像していたのだが、どうすればあのような状態になるのかが分からなかったのだ。
「長い間ってどれくらい?」
 考助の問いかけに首を傾げたビアナだったが、諦めたように首を振った。
「正確には私も分かりません。少なくとも数百年単位であるとしか・・・・・・」
 思った以上の長さに、考助は手で額を抑えた。
 何とも気の長い話である。
「そうか。分かったよ。有難う」
 少なくともプロスト宝玉の元になったあの宝玉を今すぐ作るのは不可能だという事はよく分かった。
 あるいは、時間を短縮する方法があるのかもしれないが、それは考助には分からない。
 当然ビアナ達にも分からないだろう。

 ただし、ビアナの話を聞いて<地の宝玉(精霊)>が同じような過程で作られていっていることは分かった。
 違いは、地の宝玉が一属性だけに偏って出来ているという事だろう。
 ビアナから渡された宝玉は、四属性全ての力が混ざっていた。
 結局、ビアナから話を聞いて分かったことは、<地の宝玉(精霊)>は長い時間をかけて変化をしていくという事だけなのであった。
放置していた宝玉の話でした。
結論は、まだまだ長い時間がかかるよ、という事ですw
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