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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第18章 塔と新たな力
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(1)六方陣

 セントラル大陸が代弁者の出現に揺れていた頃。

 アマミヤの塔、というか考助は、別の問題にも頭を悩ませていた。

 それが発覚したのは、コウヒがサジバルの街で大々的にその存在を示してから二日たっていた朝だった。

 コウヒのやらかした問題に頭を悩ませながらもいつものように、制御盤で塔のチェックを行っていた。

 そして、ここ最近では珍しいことに、ログが更新されていたことに気付いた。

 そのログを見た考助は、思わず二度見してしまった。

 

 大陸に存在する全ての塔がLV4を超えました。

 アマミヤの塔が大陸全ての塔を支配していることにより、六方陣システムが稼働します。

 各システムについては新しいメニューをご覧ください。

 

 そのメッセージを見た考助は、しばし固まった後で、すぐさまその新しいメニューとやらをチェックしてみた。

 見たのだが、すぐにそのメニューは見なかったことにした。

 サジバルの問題で、しばらくは落ち着いて考えることが出来ないと思ったのだ。

 そのメニューは、当分の間ロックを掛けて、誰にも見えないようにしておくことにしたのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 サジバルの問題が取りあえず片付いたので、考助は取りあえずホッと胸をなでおろした。

 といっても今回の問題に関しては、考助が直接動いたことはほとんどない。

 結果として、塔にとっていい方向に向かっているので、これ以上の干渉をすることは控えることにしたのだ。

 ミクセンの神殿周りでは、コウヒの出現を望む者達が集まっているようだが、そんな者達の要求にこたえるつもりはない。

 というより、そんな者達に一々構っていると、いくら時間があっても足りない。

 コウヒもミツキも考助が言えば、現場へ向かうだろうが、自分から向かうような酔狂者ではなかった。

 なんとなく、自分が直接手を出していない時の方が上手くいっている気がする、と思わなくもない考助だったが、気のせいだと思うことにした。

 

 ようやく落ち着きを取り戻した管理層で、考助はようやく封印していた新しいメニューをチェックすることにした。

 説明が二度手間になると面倒なので、最初からメンバー全員に集まってもらっている。

 まずそもそもの元になったメッセージの大陸全ての塔LV4になった件に関しては、既にハクから説明を受けていた。

 あのメッセージを考助が確認した前日に塔LV4になったのを確認していたそうだ。

 だが、状況が状況だけに言うのを控えていたとのことだった。

 確かにあの状況で言われても聞き流して終わっていた可能性が高いので、逆にハクの判断をほめた。

 残念ながら、その判断は次の日のメッセージが無に帰してしまったわけだが。

「それで? 六方陣システムとは何のことかの? まあ、何となく予想はつくが」

「まあみんなの予想は当たってると思うよ。このアマミヤの塔を中心にして、周辺六つの塔を線で結ぶとちょうど魔法陣の一つの六方陣になるからね」

「・・・ずいぶんと大きな規模の魔法陣だと思うが?」

 フローリアの突込みには、考助は苦笑で答えた。

「まあそうなんだけどね。流石に詳しい作りは分からないよ。何となく想像はつくけど」

 想像できるんだ、とその場の全員が思ったが、誰も突っ込まなかった。

 考助は既に、魔法陣に関しては、第一人者と言っていいレベルに達している。

 というよりも、神威召喚しかり神域への送還陣しかり、人外と言っていいレベルになっているのだ。

「まあ、それはともかくとして、この六方陣を使って色々なことが出来るようになるのが、六方陣システムらしいね」

「へ~。それこそこれだけの規模だと、色々出来そうですね~」

 ピーチの言葉に、考助が苦笑した。

「ところが、そうはいかない。出来ることはある程度限られているよ」

「え? そうなの?」

「うん。まあ、今後の塔LVによって解禁されることも出てくるだろうけどね。魔法陣の作りを見る限りでは、さほどたくさんの事は出来ないかな?」

 考助の解説に、何となくがっくりとした雰囲気になる。

 だが、続けて説明された考助の言葉に、全員の表情が唖然とした物になった。

「ただし、効果は流石にとんでもない物ばかりだったよ。例えば、この大陸を囲う結界を張れるとか」

 流石のコウヒやミツキも、その効果を聞いて驚いていた。

 大陸全部を囲えるほどの大きさの結界となると、運用コストがとんでもないことになるはずなのだ。

「ただ囲うといっても、大陸からいくらか離れた場所に、カーテンみたいに覆うみたいな感じだけどね。ただ、船の移動の場合はもしこの結界使ったら許可した船以外ははじかれるね」

 この言葉を海運業者が聞いたら、真っ青になってしまうような話だった。

 

「そうはいっても、かなりの力を使うと思うが、その辺はどうなのだ?」

「大体一日単位で、神力百万ptだね」

 それを聞いた全員が唸った。

 現在全ての塔の神力の稼ぎを合わせれば、払えないコストではない。

 逆に、今までの塔内部の設置に使っていたコストに比べれば、破格の運用コストとも言える。

「階層交換とかと比べると、非常に安い気がしますが、その辺りの理由はわかっていますの?」

「この塔と、他六つの塔の位置関係を見ればわかるけど、魔法陣の維持自体はそもそもこの大陸に存在している力を使っているみたいだね」

「ああ、なるほど。塔で支払うコストはあくまでも、魔法陣を起動するためのコストなのね?」

 珍しくミツキが口を挟んできた。

 ミツキもこれだけの巨大な魔法陣を維持しているシステムには、興味があったようだ。

 更に詳しく調べればわかるだろうが、各塔の位置はセントラル大陸での重要な位置に建っている。

 地脈の交点だったり、そのほかさまざまな物が混じっているようないわばパワースポットに立っているのだ。

 そこに集まる力を利用して、魔法陣が維持されているのである。

「何かそれだけ聞くと、この力使っていいのか微妙な気がするんだけど?」

 そう言ったのはコレットだ。

 地脈の力を使って成長する世界樹を管理する一族の意見としては、ごく自然な物だった。

「いやいや。むしろ役割としては、世界樹と同じような物だからね?」

「え!? そうなの?」

「うん。それから世界各地にあるような聖地とかに建っている建物とも同じような物だね。早い話が、百合之神社の大陸バージョン」

 考助の説明に、全員が納得したように頷いた。

 

「ここから先は推測だけど、この塔があることによって、いろんなものを発散させている意味もあるみたいだね」

「例えば、どんなことだ?」

 興味を持ったフローリアが食いついてきた。

「もしなかったら、力を溜め込んでいって、最後には大きな暴発が起こったりする感じかな?」

 それを聞いたメンバーが顔を青褪めさせた。

「・・・魔力暴走か」

「あれ? 何か思い当たりあるの?」

「過去に何度か、それによって国が滅んだという話があるな。眉唾物だと一つの文明が滅んだという話もある」

 それは既に、暴発と言うより災害と言った方がいい規模だ。

「ああ、なるほどね」

 そう言った暴発が自然災害規模で起これば、あり得る話なので、考助も納得した。

「ちなみに聞くけど、ここの六方陣が無かったらどれくらいの規模の暴発、というか災害が起こるの?」

「あ~。えっと。これも推測だけど、いい?」

 念を押して考助が確認した。

 そして、全員が頷くのを見てから、更に念を押した。

「多分。多分だけど、いい?」

 言いよどむ考助に、シュレインが首を傾げた。

「なんだ? それほどの規模なのかの?」

「うん。まあ、ね」

 珍しいくらいに慎重になる考助に、全員が覚悟を決める。


「・・・・・・恐らくこの大陸が吹き飛ぶ、かな?」

 考助の回答に、全員が押し黙った。

 折角決めた覚悟が、一瞬にしてしぼんでしまった。

「いやいや。そもそもこの六方陣があるからそんなことは起きないから。大丈夫だから」

 慌ててフォローするも時既に遅し。

 絶対にこの大陸の塔は今のままで潰させない、と決意するメンバーたちであった。

というわけで、セントラル大陸に塔が存在している理由でした。

塔を壊せば大陸を吹き飛ばすことが出来ますが、そもそも塔は壊せません。

次回、六方陣システムで出来るようになった内容を説明します。

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